建築家・ナイトウタカシさんのブログ「子ども部屋におすすめのアートって?」
子ども部屋におすすめのアートって?
2025/10/13 更新
子ども部屋というと、勉強机やおもちゃ、収納など、どうしても「機能」や「整理」に意識が向きがちです。
けれども、本当に大切なのは、子どもの感性を育む“空気”をどうつくるか。
アートは、そのための最良のツールです。
一枚の絵があるだけで、部屋がやわらかくなり、子どもの世界が少し広がります。
1. 「かわいい」より「想像できる」ものを
子ども部屋にアートを選ぶとき、多くの方が「キャラクターもの」や「かわいらしい絵」を思い浮かべます。
もちろん、それも素敵ですが、できれば少し想像力を働かせる余白のある作品を選んでみてください。
たとえば――
抽象的な形や色の構成画
物語を感じさせる動物の絵
星や雲など、自然をモチーフにしたイラスト
はっきりと意味が決まっていない絵は、子どもの想像力を刺激します。
「これ、何に見える?」という会話が生まれたら、それはもう立派な感性の育ちです。
2. 成長に合わせて“変化するアート”を
子どもは日々成長します。
だから、成長とともに入れ替えられるアートを前提にすると、長く楽しめます。
小さなうちは色のはっきりした絵、成長するにつれて落ち着いたトーンや写真作品へ。
入れ替えを一緒に楽しむことで、「この作品は前は好きだったけど、今はこっちが好き」という気づきが生まれます。
それは“自分の好み”を知る第一歩でもあります。
3. 飾る位置は“子どもの目線”に
大人の目線で飾ってしまうと、子どもは見上げるばかりになってしまいます。
ぜひ、子どもの目の高さに合わせて飾ってください。
床から80〜100cmくらいの高さがちょうどいい目安です。
「自分のための絵だ」と感じられる位置にあることで、アートは身近な存在になります。
4. 家族の絵も、立派なアートに
子どもが描いた絵や工作も、額装すれば世界に一つのアートです。
壁にそのまま貼るより、きちんと額に入れるだけで見え方が変わります。
「自分の絵が飾られている」という体験は、子どもの自己肯定感を大きく育ててくれます。
季節ごとに入れ替えるのもおすすめ。
作品を大切に扱う習慣も自然に身につきます。
5. 色と光のバランスを整える
子ども部屋は明るく元気な空間が似合いますが、刺激が強すぎる色は落ち着きを妨げることも。
アートで色を加えるときは、明るくても少しトーンを落とした優しい色を意識するとバランスが取れます。
また、自然光の入る壁に飾ると、時間帯によって絵の印象が変わり、子どもはその変化を敏感に感じ取ります。
まとめ
子ども部屋のアートは、「飾り」ではなく、「育てるための風景」です。
見るたびに何かを感じ、考え、話すきっかけになる。
そんな一枚が、子どもの中でゆっくりと感性の根を伸ばしていきます。
アートを通して「感じる力」が育つ家。
それは、大人にとっても学びのある、豊かな暮らしの形なのです。