建築家・ナイトウタカシさんのブログ「帰りたくなる実家のつくり方」
帰りたくなる実家のつくり方
2025/10/19 更新
■ 静かになった家に、あの笑い声をもう一度
子どもが独立して、家の中が急に静かになった。
リビングのテーブルも広く感じるし、食卓の会話も夫婦ふたりだけ。
そんな中で、ふとした瞬間に「そろそろ帰ってこないかな」と思うことはありませんか?
帰省してくれることは、親にとって何よりの喜びです。
でも、実はその“帰りたい気持ち”は、家の雰囲気や居心地にも左右されるのです。
■ 子どもが“帰ってきたくなる家”の共通点
居心地がいいこと
昔のままの間取り・インテリアが残っていると、どこか落ち着かないもの。
子どもが帰ってきたとき、居心地よく過ごせる場所があることが大切です。
たとえば、リビングにゆったり座れるソファや、読書できる照明を整えるだけでも、家全体の印象が変わります。
過ごし方の選択肢があること
家族で集まるだけでなく、ひとりの時間も取れる。
そんな“余白のある家”は、大人になった子どもにとって居心地が良いものです。
ゲストルームを小さく設ける、ワークスペースを兼ねるなど、短い滞在でも安心できる工夫が喜ばれます。
温かさと清潔感
清潔で明るい空間は、それだけで「帰ってきてよかった」と感じさせます。
古くなったカーテンや照明を変えるだけでも印象は一新。
“懐かしさ”の中に“新しさ”を感じられることが、帰省したくなる家の条件です。
■ 会話が生まれるリビングのつくり方
子どもや孫が集まるとき、一番長く過ごすのはリビング。
だからこそ、座る位置や照明の配置がとても大切です。
視線が合うように椅子やソファをL字に配置し、照明は温かみのある光を選ぶと、自然と会話が弾みます。
また、キッチンが孤立していると「お母さんだけバタバタ」という状態になりがち。
対面キッチンやカウンターを設ければ、料理をしながら会話を楽しめる“家族の中心”になります。
■ 「また帰りたい」と思わせる工夫
子どもにとって“帰省したくなる家”とは、便利で立派な家ではなく、温かく迎えてくれる空間です。
居心地の良い空間、会話が生まれる距離感、少しの“新しさ”。
この3つが揃うだけで、家は特別な場所に変わります。
■ まとめ
家族の形が変わっても、家が持つぬくもりは変わりません。
帰省してくる子どもたちにとって、あなたの家が「帰る理由」になるように。
“子どもが帰ってきたくなる家”は、家族の記憶をつなぐ家。
その舞台を整えることが、これからの暮らしを豊かにする第一歩です。