建築家・ナイトウタカシさんのブログ「車椅子対応の家=デザインを諦める?」

車椅子対応の家=デザインを諦める?

2025/10/29 更新

「バリアフリー住宅」と聞くと、多くの人が“機能的だけれど味気ない家”を思い浮かべます。


白い手すり、無機質な床材、病院のような空間――。


車椅子に対応する家は、美しさを犠牲にするものだと感じている方も少なくありません。

しかし、それは過去の常識です。


本来、車椅子対応の家と美しいデザインは両立できます。


むしろ、心地よく暮らすための機能を追求した結果として、美しい家が生まれることすらあります。

1. 「安全」と「美しさ」は対立しない
手すりやスロープを“目立たせない”ように隠すのではなく、空間デザインの一部として取り込む発想が重要です。


たとえば、天然木の手すりをインテリアのラインとして連続させる。
スロープをアプローチの一部にデザインして、庭と玄関を自然につなぐ。


こうした工夫によって、機能はそのままに、美しく調和した空間が生まれます。



「安全を守るための設備」が、空間のアクセントや意匠として息づく――それが、現代の車椅子対応住宅のあり方です。

2. デザイン性を高めるのは「余白の設計」
車椅子が快適に動ける空間には、自然と“余白”が生まれます。
この余白こそが、実はデザイン性を高める要素になります。



家具を詰め込みすぎず、光と風が通り抜けるスペースを確保する。
素材や色数を抑え、シンプルで上質な空間をつくる。


こうした設計は、車椅子利用者にとっての使いやすさだけでなく、誰にとっても心地よい住まいを実現します。



「機能美」こそ、最も普遍的なデザイン。
それは北欧デザインや日本建築にも共通する思想です。

3. “やさしさ”を形にするデザイン
車椅子を使う方にとって暮らしやすい家は、家族にもやさしい家です。


段差をなくすことで、子どもや高齢者も安心して歩ける。
動線を広くすることで、すれ違いや片付けもスムーズになる。


つまり、車椅子対応の設計は、家族全員にとっての快適設計でもあるのです。



美しさとは見た目の華やかさではなく、使う人すべてへの“思いやり”が形になったもの。
そこにこそ、ナイトウタカシ建築設計事務所が考えるデザインの本質があります。

4. 「暮らしの舞台」としての家
ナイトウタカシ建築設計事務所では、車椅子対応住宅を“特別な家”としてではなく、家族の暮らしの舞台として設計します。


手すりも、段差解消も、すべてはその家族が心地よく生きるための道具。
そこに無理のない素材選びや光のデザインが加わることで、機能と美が共鳴する空間が生まれます。

まとめ
「車椅子対応の家=デザインを諦める」という時代は終わりました。


今求められているのは、“誰かのため”ではなく、“みんなのため”のデザイン。

使いやすさと美しさを両立することは、技術の問題ではなく、思想の問題です。
美しいとは、やさしいということ。


その価値観をもとに、一人ひとりの暮らしを丁寧にデザインする――


それが、ナイトウタカシ建築設計事務所が目指す「車椅子と暮らす家」の形です。

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