建築家・ナイトウタカシさんのブログ「二世帯住宅は誰が主導権を握るといいの?」

二世帯住宅は誰が主導権を握るといいの?

2025/11/01 更新

二世帯住宅の計画を始めると、最初にぶつかるのがこの問題。

「家づくりの主導権は、親世帯と子世帯のどちらが握るといいのか?」



家を建てるという行為は、単なる“モノづくり”ではなく、家族の関係性そのものを再構築する作業でもあります。
だからこそ、誰がリーダーシップを取るかは、設計そのものに深く関わってくるのです。

1. 親世帯主導のメリットと注意点
親が土地を所有し、資金も出すケースでは、自然と親世帯が主導する流れになります。


「自分たちが建てる家なのだから」という意識も理解できますし、税制面や相続の観点からも理にかなっています。



しかし、注意したいのは 「子世帯の暮らし心地」 です。


親主導で計画を進めすぎると、子世帯が「住まわせてもらっている」という意識になり、生活面で遠慮が生まれます。
特に、プライバシーや生活動線の自由度が低いと、同居後にストレスの原因となります。



親世帯が主導する場合でも、設計段階で子世帯の意見を十分に反映することが、成功のカギになります。

2. 子世帯主導のメリットと注意点
最近では、住宅ローンを子世帯が組むパターンも増えています。
若い世代が資金を負担する場合、デザインや設備など、自分たちの暮らしに合わせた提案がしやすいのが大きなメリットです。



ただし、親世帯の意向を軽視すると、将来の関係にしこりが残ることも。
「一緒に住むのに、意見を聞いてもらえなかった」と感じさせてしまうと、せっかくの同居がギクシャクしてしまいます。



子世帯主導で進める場合でも、親世帯が“納得して暮らせる空間”をしっかり確保することが大切です。

3. 理想は「主導権の共有」
実は、どちらか一方が完全に主導権を握る家づくりは、長期的にうまくいかないことが多いものです。


二世帯住宅における理想の姿は、「主導権の共有」。

つまり、

土地や資金の話は親世帯が主導

間取りや設備、暮らし方は子世帯が主導

このように分野ごとにリーダーを分けると、お互いの役割が明確になり、無用な衝突を避けられます。


さらに、建築家など第三者の専門家を間に立てることで、双方の意見を“翻訳”し、客観的にまとめることができます。

4. 主導ではなく「共創」へ
本来、家づくりの目的は「誰の意見が通るか」ではなく、「家族全員が心地よく暮らせるか」です。
主導権を競うのではなく、“共に創る”という姿勢に変えるだけで、話し合いのトーンは大きく変わります。



二世帯住宅の成功は、立場の強さではなく、相手への思いやりから生まれます。
「お互いの暮らしを尊重する家」こそが、本当の意味での“共創住宅”なのです。

まとめ
二世帯住宅の主導権は、どちらか一方に偏らせるのではなく、親世帯と子世帯が協力しながら分担することが最も理想的です。

親世帯:土地・資金・将来の暮らし方を考える

子世帯:間取り・設備・日常の使いやすさを設計に反映

建築家:双方の意見を整理し、暮らしやすい形に落とし込む

この三者がバランスよく関わることで、「誰の家でもなく、みんなの家」が完成します。

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