建築家・ナイトウタカシさんのブログ「【50歳からの家】後悔しない予算とは」
【50歳からの家】後悔しない予算とは
2025/11/16 更新
■ “なんとなく”で決めていませんか?
リフォームや建て替えを考えるとき、まず気になるのは「お金」です。
でも、多くの人が最初に口にするのは「いくらかかるんですか?」という質問。
実は、ここに落とし穴があります。
金額の大小よりも大事なのは、「そのお金で何を叶えたいのか」という目的を明確にすること。
それを整理しないまま進めてしまうと、
「もう少しこだわればよかった」
「予算が足りずに中途半端になった」
そんな後悔につながってしまうのです。
■ 予算の正体は、“優先順位”の表れ
リフォームや家づくりの予算は、実は単なるお金の話ではありません。
どんな暮らしを大切にしたいか――それを数値に置き換えたものです。
たとえば、
家事をラクにする動線にこだわりたい
冬でも暖かく過ごしたい
人を呼べるリビングにしたい
これらを“本当に実現したいこと”として整理すると、
優先すべき部分と、コストを抑えてもいい部分が自然と見えてきます。
つまり、予算を決める=暮らしの価値観を決めるということなのです。
■ 3つの視点で考える予算の組み方
後悔しないための予算計画には、次の3つの視点が欠かせません。
全体の上限を決める(心理的安全ライン)
借入や貯蓄のバランスを見ながら、「ここまでなら安心して使える」というラインを設定します。
“ギリギリ”ではなく“余白を残す”のがポイント。
目的別に配分する(価値の見える化)
たとえば「性能30%」「デザイン30%」「暮らしやすさ40%」といった具合に、自分たちなりの配分を考えてみましょう。
数字にすることで、家づくりの軸がぶれにくくなります。
将来の支出も含めて考える(長期視点)
リフォームは「今の快適さ」だけでなく「老後の安心」にも関係します。
10年後にもう一度直すのか、それとも今しっかり整えるのか。
ここでの判断が、将来の出費を大きく左右します。
■ “安く済ませる”より“後悔しない”を優先
「なるべく安くしたい」という気持ちは自然なこと。
でも、本当に満足できるのは、“納得して使ったお金”です。
大切なのは、金額を減らすことではなく、使い方を正しく整えること。
そして、それを一緒に考えてくれるパートナーがいるかどうかです。
ナイトウタカシ建築設計事務所では、設計の前に必ず「暮らしの優先順位」を整理し、資金計画やローンシミュレーションも中立の立場でサポートしています。
建築の話になる前に、「お金の安心」を共有することが、後悔しない第一歩だと考えています。
■ まとめ:予算は“制限”ではなく、“設計の基準”
予算は家づくりの“枠”ではなく、“コンパス”のようなもの。
どこに軸を置くかが明確になれば、余計な迷いは減り、満足度はぐっと上がります。
「安く」ではなく、「納得して」。
それが、50代・60代のリフォームや建て替えで後悔しないための最も大切な考え方です。























