建築家・ナイトウタカシさんのブログ「【車椅子と暮ら快適に暮らせる間取りの工夫」

【車椅子と暮ら快適に暮らせる間取りの工夫

2025/11/19 更新

家づくりを考えるとき、多くの人が「誰が主役か」を決めてしまいがちです。


子ども中心、あるいは介助が必要な家族中心――もちろん、それも大切です。
けれど本当に暮らしやすい家は、家族全員が快適に過ごせる間取りであること。


一人のための家ではなく、みんなのための家をどうつくるかが鍵になります。

1. 「動線を分けずに整える」という発想
家族がそれぞれの動線を奪い合うような間取りでは、ストレスが生まれます。


例えば、車椅子を使う家族が廊下で向きを変えるとき、他の家族が通れなくなる――そんな状況は避けたいものです。



大切なのは、動線を分けるのではなく、整えるという考え方。
家族全員の動きを一枚の地図に描き、交わりすぎないよう配置する。


玄関からリビング、トイレ、寝室まで、すれ違える幅と見通しを確保すれば、自然とストレスのない空間になります。

2. 「居場所」を分けて、「気配」をつなぐ
家族が快適に暮らすためには、それぞれが落ち着ける“居場所”が必要です。
しかし、壁で仕切って孤立させてしまうと、家の中に距離が生まれます。



リビングの一角に小さなワークスペースを設けたり、寝室の近くに読書コーナーをつくったり。
完全に隔てるのではなく、「視線が届く距離」で“気配を感じ合える間取り”にすることで、安心感と自立の両方が得られます。



特に車椅子を使う家族にとっては、「呼べば届く」「声が届く」距離が心のゆとりを生みます。

3. 家族の“共有動線”と“専用動線”を意識する
キッチンや洗面所など、家族が重なりやすい場所では共有動線を広めにとる。


一方で、寝室やトイレなどのプライベートな空間は専用動線を短くまとめる。
このメリハリがあると、移動がスムーズになり、生活リズムの違いにも柔軟に対応できます。



たとえば、夜中のトイレ動線を短くすると、介助の負担も大幅に減ります。
朝の支度時間に動線が重ならないよう工夫するだけでも、家族の朝が少し穏やかになります。

4. 家具配置も「間取りの一部」として考える
間取りは壁と扉だけではありません。
家具の置き方ひとつで、動線は大きく変わります。


設計段階から家具の配置を想定し、通路幅や回転スペースを確保することが、日常の使いやすさを決定づける要素です。



また、収納を壁面に組み込むことで床面を広く保ち、家族が集まる空間にゆとりを持たせることもポイントです。

5. 将来の変化に“余白”を残す
お子さんの成長、親の介助、働き方の変化。
暮らしは常に動いていきます。


その変化に対応できるよう、間取りに余白を持たせることが大切です。
可動式の仕切りや引き戸を採用すれば、部屋を分けたり一体化したりと柔軟に使えます。



「今の暮らし」と「これからの暮らし」を、どちらも支える間取り――
それが、家族みんなが快適に暮らせる家の条件です。

まとめ
家族全員が快適に暮らせる間取りとは、広さや豪華さではなく、思いやりの設計から生まれます。


動線を整え、居場所をつくり、将来への余白を残す。
それぞれの距離を保ちながら、やさしくつながる家。


それが、ナイトウタカシ建築設計事務所が考える“家族のための間取り設計”です。

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