建築家・ナイトウタカシさんのブログ「日本の家に合うサウナはどれ?」
日本の家に合うサウナはどれ?
2025/12/09 更新
自宅サウナへの関心が高まる中で、
「日本の住宅事情に合うサウナはどれですか?」
という相談をいただくことが増えました。
サウナは“体験”そのものが目的ですが、
住宅に導入するとなると、スペース・動線・安全性・家族構成──
さまざまな要素が選択を左右します。
ここでは、住宅設計の視点から、
日本の家に最も馴染むサウナの選び方をお伝えします。
1. 日本の家には「電気式フィンランドサウナ」が最も相性がいい
結論からいうと、
多くの家庭に最も適しているのは 電気式ヒーター×ロウリュ可能タイプ です。
●その理由
スペースを取らない(1〜1.5畳で導入可)
温度・湿度の管理がしやすい
安全性が高い(火を使わない)
マンションや狭小住宅にも対応可能
日常使いしやすい手軽さ
特に日本の住まいは、ヨーロッパの住宅に比べて
水まわりがコンパクトにつくられるため、
「浴室横に組み込めるサイズ感」は非常に大きなメリットです。
また、ロウリュ可能な電気ストーブを選べば、
“本格的な熱さ”と“やわらかい湿度”の両方を楽しめます。
2. 遠赤外線サウナは「スペースと手軽さ」を優先する人に
遠赤外線(遠赤)サウナは、
機器自体がコンパクトで施工も簡単なため、
とにかく手軽に導入したいという方に向いています。
●メリット
設置しやすい
温度は低めで初心者にもやさしい
子どもや高齢者も使いやすい
ただし、
“サウナらしい熱さ”は弱い
大量に汗をかきたい人には物足りない
という傾向があります。
「短時間でポカポカ温まりたい」
そんなニーズにぴったりです。
3. ミストサウナは“バスルーム一体型”として最強
ミストサウナは、高温ではなく“湿度の力”でリラックスするサウナ。
日本の住宅では、浴室内にシステムとして組み込むケースが多く、
スペースを増やさずに導入できるという利点があります。
●メリット
美容・保湿効果が高い
呼吸がしやすく負担が少ない
浴室と一体化しやすい
一方で、“ととのう”感を求めるコアなサウナファンには、
やや物足りないかもしれません。
4. 薪サウナは条件が揃えば最高だが、住宅街では注意が必要
薪サウナは圧倒的に魅力的ですが、
一般的な住宅では導入のハードルが高め。
●理由
煙とにおいの問題
設置は庭が必要(特に都市部では難しい)
着火〜温まりまでの手間
防火距離・法規の確認が必須
ただ、
「庭が広い」「離れがある」「周囲との距離がとれる」
という条件が揃えば、
人生が変わるほどのサウナ体験が得られるのも事実です。
■失敗しないための“たった1つの基準”
サウナ選びで迷ったときは、
「日常でどれだけ使うか」
を基準にしてください。
平日夜にも使いたい → 電気式
手軽に温まりたい → 遠赤外線
バスタイムと一緒に使いたい → ミスト
週末に“特別な体験”をしたい → 薪
住宅は日常の器です。
毎日の暮らしの延長線で無理なく使えるサウナこそ、
“導入してよかった”と心から思える選択になります。
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