建築家・ナイトウタカシさんのブログ「【奏響の家】家がコンサートホールになる日」
【奏響の家】家がコンサートホールになる日
2025/12/11 更新
楽器を続けているご家庭とお話ししていると、
よくこんな言葉を耳にします。
「いつか、この家で思い切り音が響く日が来たらいいな」
それは、誰かに聴かせる特別な演奏会のことではありません。
子どもが少し上手になったと感じた瞬間、
長く練習してきた曲がようやく形になった夜、
家族がほっと息をつきながら耳を傾ける時間──。
家の中に、ちいさなコンサートホールのような
“音と気持ちが満ちるひととき”が生まれること。
それこそが、多くのご家庭が心のどこかで望んでいる風景なのかもしれません。
では、家がそんな空間になるためには、どんな工夫が必要なのでしょうか。
■ 1. 音が「届く・届かない」を整える
家をコンサートホールのように感じられる瞬間は、
ただ音量が大きいから生まれるわけではありません。
大切なのは、
“必要なところにだけ、音が届く” ということ。
家族がテレビを見ている時間はそっと音を抑え、
一人で練習しているときは伸びやかに響く。
この音の「メリハリ」が整うだけで、
家の中の空気は驚くほど変わります。
だからこそ、防音室は音を完全に閉じ込めるだけでなく、
“生活のリズムと音のリズムを合わせる調整装置”でもあります。
■ 2. 音の響きを育てる“素材”の力
ホールの音が美しいのは、
特別な機械ではなく“素材”が響きをつくっているからです。
防音室も同じで、
・木の柔らかい反射
・布の吸い込み
・壁や天井の質感による余韻
こうした要素が、音の表情を決めていきます。
楽器を大切にするように、空間にも“音の居心地”があります。
それを整えていくことで、
家の中で鳴る音は、ただの練習音ではなく
**“音楽としての響き”**を持ちはじめます。
■ 3. 家族の気配が生む安心感
コンサートホールと大きく違う点がひとつあります。
それは、家族の気配がそこにある ということ。
廊下を歩く足音、キッチンの食器の触れ合う音、
部屋の向こうで小さく交わされる会話。
こうした日常の気配は、
緊張しがちな練習時間をほどよく和らげ、
音を“生活の延長”へと引き戻してくれます。
音楽に集中しながらも、
どこかで安心を感じられる距離感。
それを設計することが、家族が心地よく続けていくために欠かせません。
■ 4. 音が“育つ”場所にこそ、音楽が息づく
レッスン室でも学校でもない、
“家”という場所で音が育つというのは、実はとても豊かなことです。
・上達の変化がすぐそばで感じられる
・がんばる姿を家族が自然に見守れる
・音楽が家族の記憶として積み重なっていく
家がコンサートホールのようになるというのは、
決して豪華な設備を整えることではありません。
音を大切にする時間が、家族にとって特別な瞬間になるということ。
そのための環境づくりこそが、本来の“音のある家”の価値なのだと思います。
■ 5. 最後に──
家が、音を響かせる器ではなく、
音とともに育つ場所になりますように。
誰かに聴かせるためではなく、
ご家族が心地よく音と向き合える空間。
その積み重ねが、いつか
“家がコンサートホールになる日”
を運んできてくれるはずです。
お子さまの音楽と家族の暮らし、まとめて考える家づくり。
防音室を“つくる”だけじゃない。
音楽のプロと建築のプロが一緒だからできる、新しい住まいの形。
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