建築家・ナイトウタカシさんのブログ「無添加な素材だけでは不十分な理由」

無添加な素材だけでは不十分な理由

2025/12/12 更新

「体に悪いものを使わない家=健康な家」

多くの方がそう考えていますし、その発想自体はとても大切です。


実際、自然素材を使った住宅は、化学物質に敏感な方やアレルギー体質のご家庭にとって、安心感のある選択肢のひとつです。



しかし、長年健康住宅の設計に携わってきた私の実感として、“無添加だけでは十分と言い切れない理由”がいくつかあります。


今日は、その本質について少しお話ししたいと思います。

①「素材が安全=空気が健康」とは限らない
無添加住宅は“素材の安全性”に焦点を当てていますが、
家の健康を左右するのは、素材そのものよりも “空気の質” です。

たとえば、

二酸化炭素濃度

湿度バランス

換気の循環

温度差による結露
これらは素材とは別のレイヤーに存在する問題であり、
家の性能や設計が整っていないと、どれほど自然素材を使っても空気は悪くなります。

つまり、素材の良し悪しと、空気の健康は“別問題”なのです。

② 無添加でも「湿気」「カビ」「花粉」は防げない
自然素材だからといって、

花粉

PM2.5

高湿度によるカビ

換気不足による空気の滞留

これらを自動的に解決してくれるわけではありません。

むしろ自然素材は湿気を吸う分、
設計が悪いとカビを広げてしまうリスクすらあります。

本当に健康な住まいをつくるには、
素材・換気・断熱・動線の「総合設計」が欠かせません。

③ 無添加な家は「点」であり、健康住宅は「面」
無添加はな家とは、「化学物質をなるべく減らす」という単一の目的に特化しています。

しかし、呼吸器が弱い方、子どものアレルギーを減らしたいご家庭に必要なのは、もっと広い視点です。

たとえば、

帰宅動線で花粉を持ち込まない

寝室の二酸化炭素濃度をコントロールする

冬の乾燥を抑え、夏は湿気を逃す

家族全員の“呼吸の深さ”が変わる空気計画

これらは無添加素材だけでは実現できません。
健康な家づくりとは、素材の選択だけでなく “暮らしの構造” を整えることなのです。

④ 「健康の結果」をどうつくるかが重要
素材が優しいことは前提として、
本当に大切なのはその先にある “家族の体がどう変わるか” です。



まとめ
無添加な家は、たしかに安全な選択肢です。


しかし「健康」という大きな目的の中では、その一部しか満たしていません。

家族が本当に健やかに暮らすためには、素材だけに依存せず
空気・湿度・換気・動線・温熱環境まで統合した“家全体の設計”が不可欠です。



それが、すくわくハウスが目指している
「空気をデザインする家づくり」の本質です。



家の性能やデザインだけではなく、
“空気の質”まで整えること。
それが、家族の健康と心を支える家づくりの原点だと、私たちは考えています。

空気から暮らしを変える家づくり、詳しくはこちらから

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