建築家・ナイトウタカシさんのブログ「湿気とダニ・カビの関係を断つ家づくり」

湿気とダニ・カビの関係を断つ家づくり

2025/12/19 更新

「掃除しているのに、くしゃみが止まらない」
「梅雨になると、家の中が重たく感じる」
そんな相談を受けることがあります。



原因をたどっていくと、多くの場合たどり着くのが湿気です。


湿気は目に見えませんが、ダニやカビにとっては“最高の環境”。
つまり、湿気をどう扱うかが、家の健康を左右すると言っても過言ではありません。

ダニとカビが好む環境とは
ダニやカビが繁殖しやすい条件は、驚くほどシンプルです。

湿度:60%以上

温度:20〜30℃前後

空気が動かない場所

この条件は、実は私たちが「快適」と感じやすい室内環境と重なっています。
だからこそ、対策をしないと自然に増えてしまうのです。



特に、押し入れ・クローゼット・寝室・北側の部屋などは要注意。


空気が滞りやすく、湿気が逃げにくい場所ほど、
ダニやカビの温床になりやすくなります。

「除湿」だけでは根本解決にならない
除湿機やエアコンは、たしかに有効です。
しかし、それはあくまで対症療法。



湿気が生まれ、溜まり、逃げない構造のままでは、
機械を止めた瞬間に元に戻ってしまいます。



大切なのは、
「なぜ湿気が溜まるのか」
「なぜそこに空気が動かないのか」
という家の構造そのものを見直すことです。

湿気と縁を切るための3つの設計視点
① 空気の流れを止めない間取り
空気が動けば、湿気は溜まりにくくなります。
すくわくハウスでは、
・部屋ごとの換気量
・空気の入口と出口
・収納内部の通気
まで含めて、空気のルートを設計します。

「閉じた空間をつくらない」
これが、ダニ・カビ対策の基本です。

② 調湿できる素材を使う
漆喰・珪藻土・無垢材などの自然素材は、
湿気を吸ったり吐いたりする性質を持っています。

これらは湿度を完全に下げるのではなく、
“急激な変化を抑える”ことで、
ダニやカビが繁殖しにくい環境を保ってくれます。

③ 結露を起こさない温熱設計
結露は、カビの最大の原因です。
断熱・気密が不十分だと、
壁の内部や窓まわりで目に見えない結露が起きます。

だからこそ、
・断熱性能
・窓の性能
・温度差の少ない空間づくり
が欠かせません。

湿気対策は「掃除」ではなく「設計」
ダニやカビは、発生してから除去するのでは遅い。
発生しにくい環境をつくることが、いちばんの対策です。



すくわくハウスが考える健康住宅とは、
特別な設備をたくさん入れる家ではなく、
湿気・空気・温度を自然に整えられる家。



見えない部分を丁寧に設計することで、
家族が安心して深呼吸できる環境が生まれます。

まとめ
湿気を制することは、ダニ・カビを制し、
アレルギーや体調不良のリスクを下げることにつながります。



それは「素材」だけでも、「換気」だけでも不十分。
設計全体で湿気と向き合うことが、本当の解決策です。



それが、すくわくハウスの考える
「空気から健康を整える家づくり」です。

家の性能やデザインだけではなく、
“空気の質”まで整えること。
それが、家族の健康と心を支える家づくりの原点だと、私たちは考えています。

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