建築家・ナイトウタカシさんのブログ「香りと健康、アロマを生かした住まい」
香りと健康、アロマを生かした住まい
2025/12/26 更新
家に入った瞬間、ふっと気持ちが緩む。
そんな経験がある方は多いと思います。
その理由のひとつが「香り」です。
香りは目に見えませんが、
人の感情や体調に、驚くほど直接的に作用します。
だから私は、香りを“好みの演出”ではなく、
住まいの健康を支える要素のひとつとして捉えています。
香りが体に与える影響
嗅覚は、五感の中で唯一、
脳の「感情」や「自律神経」を司る部分へ直接届く感覚です。
たとえば、
・ラベンダーの香りで気持ちが落ち着く
・ヒノキの香りで深呼吸したくなる
・柑橘系で頭がすっきりする
これらは気分の問題ではなく、
香りの成分が神経に働きかけている結果です。
だからこそ、香りのある住まいは、
睡眠・集中力・ストレス耐性にも影響します。
「いい香り」と「健康な香り」は違う
注意したいのは、
すべての香りが健康に良いわけではない、という点です。
市販の芳香剤や消臭剤の多くは、
人工香料や揮発性有機化合物(VOC)を含んでいます。
これらは、
・頭痛
・喉の違和感
・倦怠感
などを引き起こすこともあり、
香りで空気を“ごまかしている”状態とも言えます。
すくわくハウスでは、
「香りを足す前に、空気を整える」ことを大切にしています。
アロマを生かす住まいの条件
アロマを心地よく使うためには、
実は住まい側の条件がとても重要です。
① 空気がよどまないこと
換気が不十分な家では、
香りがこもり、重たく感じてしまいます。
香りは「流れてこそ」心地よいもの。
空気の循環が整っている家だからこそ、
アロマはやさしく広がります。
② 自然素材との相性
無垢材や漆喰などの自然素材は、
香りを吸い、ゆっくりと放つ性質があります。
一時的に強く香らせるのではなく、
空間全体に穏やかに馴染ませる。
それが、住まいにおける香りの理想形だと考えています。
③ 「使わない時間」も大切にする
香りは常にある必要はありません。
朝、夜、来客時など、
使うタイミングを限定することで、
香りの効果はより高まります。
これは、照明や音と同じ「環境設計」の考え方です。
香りは、暮らしのリズムを整える
アロマは、薬でも魔法でもありません。
しかし、空気・光・音が整った住まいの中では、
暮らしのリズムをそっと整えてくれる存在になります。
すくわくハウスが目指しているのは、
強い刺激のある家ではなく、
自然と深呼吸できる家。
香りは、その仕上げの一要素にすぎません。
まとめ
健康な住まいに必要なのは、
何かを「足す」ことではなく、
まず「整える」こと。
空気が整った先に、
香りが静かに寄り添う。
それが、アロマを生かした住まいの本質です。
家の性能やデザインだけではなく、
“空気の質”まで整えること。
それが、家族の健康と心を支える家づくりの原点だと、私たちは考えています。
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