建築家・ナイトウタカシさんのブログ「自分を知る=選ぶべきアートが見える」
自分を知る=選ぶべきアートが見える
2025/12/29 更新
「どんなアートを選べばいいかわからない」
その悩みの背景には、実はアートの問題ではなく、
自分自身をまだ言葉にできていないという状態があることが多いように感じます。
アートは、センスで選ぶものでも、知識で選ぶものでもありません。
もっと根っこの部分――
「自分はどんな時間を心地よいと感じるのか」
そこに気づいたとき、選ぶべきアートは自然と見えてきます。
1. アートは「内面の輪郭」を映す
静かな絵に惹かれる人。
力強い色や動きのある作品に心が動く人。
余白の多い表現を好む人もいれば、密度のある画面に安心を覚える人もいます。
それは優劣ではなく、その人の内面のリズムの違いです。
忙しい日々の中で「静けさ」を求めているのか。
それとも、前に進むための「エネルギー」を欲しているのか。
アートへの反応は、今の自分の状態を正直に映し出します。
2. 「好き」を分析しなくていい
自分を知る、というと難しく感じるかもしれません。
けれど、深く考える必要はありません。
美術館やギャラリー、あるいは写真集や雑誌を見ていて、
「なぜかわからないけど、立ち止まってしまった」
そんな瞬間があれば、それが十分な手がかりです。
理由を説明できなくてもいい。
むしろ、説明できない感覚のほうが、本音に近いこともあります。
アートは、分析する対象ではなく、
自分の感覚を知るための鏡なのです。
3. 住まいは「自分に戻る場所」
外では、私たちは多くの役割を演じています。
仕事の顔、親としての顔、社会の中での立場。
だからこそ、住まいには「素の自分」に戻れる要素が必要です。
そのための装置として、アートはとても優れています。
誰かに褒められるためではなく、
流行に乗るためでもなく、
自分が安心できるかどうか。
それを基準に選ばれた一枚は、
家の中で静かに、あなたを支え続けてくれます。
4. 変わる自分を、そのまま受け入れる
自分を知る、ということは、
「変わらない自分」を探すことではありません。
数年前に好きだったものが、今はしっくりこない。
それは間違いではなく、成長や変化の証です。
だから、アートも一生固定でなくていい。
入れ替えてもいいし、しまってもいい。
その時々の自分に正直であること。
それが、アートと長く付き合うための、いちばん自然な姿勢です。
まとめ
どんなアートを飾るかは、
「どんな家にしたいか」ではなく、
「どんな自分でいたいか」と深くつながっています。
自分をよく見せる必要はありません。
言葉にできなくても構いません。
ただ、自分の感覚に少し耳を澄ます。
その先に、あなたの暮らしに本当に似合うアートが、
静かに待っているはずです。























