建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「失敗したくない」が、判断を止めてしまう」

「失敗したくない」が、判断を止めてしまう

2026/01/01 更新

1.家づくりを考え始めた瞬間、なぜ不安になるのか
家づくりを考え始めたとき、
ワクワクよりも先に「不安」の方が大きくなる人は、とても多いです。



楽しみなはずなのに、なぜか胸の奥がざわつく。
何から手をつけていいか分からず、そっと検索画面を閉じてしまう。



その感情は、決して「弱さ」ではありません。
むしろ、とても自然な反応だと感じています。



家づくりは、
お金のこと、家族のこと、将来のこと…
いくつものテーマが、一度に目の前へ押し寄せてきます。



「間違えたくない」
「後悔したくない」
「ちゃんと考えなきゃ」



そう思えば思うほど、
一歩踏み出すのが怖くなる。



それは、まだ何も決まっていないからこそ生まれる不安であり、
「いい加減に進めたくない」という、まっすぐな気持ちの表れでもあります。



私が相談を受ける場面でも、
最初から明るく前向きな方ばかりではありません。



言葉を選びながら、
少し間を空けて話される方の方が、むしろ多い。

そしてお話を聞いていると、
「不安」そのものよりも、

—— “不安を抱えている自分でいいのだろうか”

そこに戸惑っている方が、とても多いように感じます。



家づくりは、
誰かの正解をなぞるものでも、
決められた手順を消化するものでもありません。



「迷ったまま話していい」
「まとまっていなくても相談していい」



そう思える場所に出会えた時、不安は少しずつ形を変えていきます。



不安は、消さなくてはいけない感情ではなく、
「ちゃんと向き合おうとしている証拠」なのかもしれません。



いま、家づくりを考え始めて、
同じような気持ちを抱えている方へ。



その不安は、どこから来ていますか。
そして、その気持ちの奥には、どんな願いが隠れているのでしょうか。

2.情報は増えているのに、決断できなくなる理由
家づくりについて調べ始めると、
たくさんの情報が見つかります。

土地選び、住宅性能、間取り、費用、事例、体験談…。

最初は「知れば知るほど安心できる」と思っていたのに、
いつの間にか、画面をスクロールする手だけが止まらなくなる。



情報は増えているのに、
心の中は軽くならない。
むしろ、決断から遠ざかっていく。



そんな声を、これまで何度も聞いてきました。



情報には、いろいろな種類があります。

「正しいこと」
「役に立つこと」
そして、「誰かの価値観のかたまり」。

家づくりの場合、
後者がとても多いように感じます。

誰かにとって大切だったポイントが、
そのまま「自分も大切にするべきもの」のように思えてしまう。



本当は、
必要かどうか分からないのに、
選択肢だけが増えていく。

選べないのではなく、
「選ばなくてはいけないものが増えすぎている」。

そういう状態なのだと思います。



設計の打合せでも、
・雑誌で見た素敵な家
・SNSで見かけた人気の間取り
・友人から聞いたアドバイス


それらが、頭の中に同時に並ぶ瞬間があります。

その中に
“自分たちの暮らしに本当に必要なもの”
はいくつ残っているのか——。



情報を集めたはずなのに、
不安が増えたように感じるとき。

それは、判断材料が足りないのではなく、
「基準」がまだ定まっていないだけかもしれません。



情報を手放すことは、
決して「無知になること」ではありません。



どれを選ぶかよりも、
「なぜそれを選ぶのか」。

その問いを、ゆっくり持てる時間こそが、
家づくりの大切なプロセスの一部だと思っています。



あなたは今、
“どの情報を信じるか”ではなく、
“何を大切にしたいか”を見失っていませんか。

3.「失敗したくない」が、判断を止めてしまうとき
家づくりの相談で、
よく耳にする言葉があります。



「失敗したくなくて…」

とてもまっとうで、まじめな気持ちです。


誰だって後悔はしたくありません。

ただ、その想いが強くなりすぎたとき、
判断が前に進まなくなる瞬間があります。



・間取りを決めるとき
・土地を選ぶとき
・仕様を選択するとき



「これで本当にいいのか」
「もっと良い選択があるのでは」
「やっぱりやめておいた方が…」



そうやって、決断の直前で立ち止まる。



それは、慎重だからではなく、
“失敗のイメージだけが先に浮かんでしまう”からかもしれません。



家づくりには、
100点の選択も、完全な正解もありません。



どんな選択にも、
手に入るものと、手放すものがあります。



私自身、設計の過程で
「すべてを叶える」よりも
「何を残すか」「何を手放すか」を
一緒に考える時間を、とても大切にしています。



失敗とは、
結果そのものよりも、

——「なぜそれを選んだのか」を
自分で説明できなくなる状態

そんなふうに感じることもあります。



迷いながら決めた選択でも、
そこに納得のプロセスがあれば、
あとから見え方は変わっていきます。



一方で、
「間違えたくない」という気持ちだけで選んだものは、
時間が経つほど、心から離れてしまう。



だからこそ、
“失敗しないこと”よりも
“納得して決めること”の方が、
ずっと大切なのだと思います。



もし今、
決断の前で立ち止まっているとしたら。

それは「選べていない」のではなく、
まだ、自分の中の答えに
静かに耳を澄ませている途中なのかもしれません。



あなたが守りたいものは、何でしょうか。
そして、どこまでなら手放してもいいと思えますか。

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