建築家・ナイトウタカシさんのブログ「要望を削ることは、諦めではない」

要望を削ることは、諦めではない

2026/01/28 更新

家づくりの打合せを重ねていく中で、

「ここは、やめておきましょうか」

そんな話になることがあります。



それは、
何かを我慢する、という意味ではなくて、

「いまの暮らし」
「これからの暮らし」

その両方を見つめ直した結果として、

そっと、手放す選択に
近いものだったりします。



要望というのは、

「こうしたい」
「こうだったらいいな」

という願いの集合体ですが、

そのすべてが、
同じ重さを持っているわけではありません。



打合せを進めるうちに、

・大切にしたいこと
・そこまで重要ではなかったこと

その違いが、
少しずつ浮かび上がってきます。



不思議なもので、

最初は強く言葉にしていた要望が、
だんだん静かになっていったり、

逆に、

最初は曖昧だった部分が、
とても大事な核になっていったり。



設計という作業は、

“増やしていくこと” よりも、

“何を残すかを選び取ること” に
近いのかもしれません。



要望を削るとき、

「妥協したようで、少し寂しいです」

そんなふうに感じられる方もいます。



でもそれは、

何かを諦めたのではなく、

「本当に残したいものを
より確かな形にした」

ということだと、
私は思っています。





家は、

できるだけ多くの要望を
詰め込んだときよりも、

必要なものだけが
静かに残ったときの方が、

心地よく、
長く寄り添ってくれることが多いです。



形として消えてしまった要望も、

そこに込められていた思いや感覚は、

設計のどこかに
ちゃんと生きています。



だから、

要望を削ることは
後退ではなくて、

「選び直すプロセス」の一部。



それが積み重なって、

少しずつ
“自分たちの家” に近づいていくのだと、

そう感じています。



あなたがもし、

「これを削ってしまって良いのだろうか」

と迷ったときは、



それが

“諦め” なのか、



それとも

“前に進むための選択” なのか、



ゆっくり確かめる時間を
とってみてください。



急いで決めなくても、
大丈夫です。

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