建築家・ナイトウタカシさんのブログ「その土地で、無理をしないという判断」
その土地で、無理をしないという判断
2026/02/06 更新
土地を見ていると、
「ここなら、
工夫すれば何とかなりそうですね」
そんな言葉が
浮かんでくることがあります。
建物の配置をずらしたり、
間取りを少し工夫したり。
設計の力で
乗り越えられそうに見える課題も、
たしかにあります。
でも同時に、
心のどこかで
「少し、無理をしているかもしれない」
そんな感覚が
芽生えることもあります。
設計は、
可能性を広げる仕事です。
だからこそ、
「できるかどうか」ではなく、
「やり続けられるかどうか」
という視点も
とても大切だと思っています。
たとえば、
ずっとカーテンを
閉めて過ごさないと
落ち着かない配置。
音や視線を避けるために、
常に気を配り続ける暮らし。
最初は
「慣れれば大丈夫」と
思えても、
毎日の積み重ねは、
少しずつ
身体に残っていきます。
その土地で、
建てることはできる。
でも、
その土地で
“無理をしない暮らし”が
続けられるか。
この二つは、
似ているようで
違う問いです。
設計者として土地を見るとき、
私は
「この土地で、
頑張り続ける暮らしに
なっていないか」
ということを、
静かに確認するようにしています。
何かを我慢し続ける前提で
成り立つ計画は、
時間が経つほど、
息苦しくなることがあります。
無理をしないという判断は、
逃げでも、
妥協でもありません。
むしろ、
自分たちの暮らし方を
正直に受け止めた、
前向きな選択だと思います。
土地を前にして、
「ここで、
自然に過ごせそうか」
そう問いかけてみてください。
その答えは、
条件表の中ではなく、
現地に立った
自分の感覚の中に、
そっと残っていることが
多いように感じます。























