建築家・ナイトウタカシさんのブログ「将来変わっていくかもしれない風景について」

将来変わっていくかもしれない風景について

2026/02/18 更新

土地を見に行ったとき、

「この景色は、
 ずっと変わらないですよね」

そう聞かれることがあります。

 

目の前に広がる空き地。
低い建物が続く、
抜けのある眺め。

 

今は、
とても気持ちがいい。

 

でも、
少しだけ時間を進めて考えてみると、
その風景が
ずっと同じとは限らないことに
気づきます。

 

空いている土地には、
いつか建物が建つかもしれません。

 

低い建物が、
建て替えによって
高くなることもあります。

 

街は、
少しずつ、
でも確実に
姿を変えていきます。

 

それは、
良い変化かもしれないし、
そうでないと感じる変化かもしれません。

 

ただひとつ言えるのは、
「今見えている風景」だけを
前提にしてしまうと、

あとから
違和感が生まれることがある、
ということです。

 

設計をしているとき、
私はよく、

 

「この景色が
 もし変わったとしても、
 この家は
 落ち着いていられるだろうか」

 

そんな問いを
自分に投げかけます。

 

今の眺めを
最大限に取り込むことも
ひとつの選択です。

 

でも同時に、
その眺めが
失われたときのことも、
想像しておく必要があります。

 

景色に頼りすぎない、
という考え方もあります。

 

一部だけを切り取る。
高さを調整する。
視線の方向を分散させる。

 

そうすることで、
外の変化に
振り回されにくい
住まいになります。

 

将来、
何が建つかは分からない。

 

だからこそ、
「今の風景」を
そのまま信じ切るのではなく、

 

「変わっても大丈夫な関係」を
つくっておく。

 

それは、
慎重すぎる考え方ではなく、
とても現実的な視点だと
思っています。

 

風景は、
土地の一部でありながら、
固定された条件ではありません。

 

変わっていくかもしれないものと、
どう付き合うか。

 

その想像力が、
時間が経ってから
住まいを支えてくれることも
多いように感じます。

 

家は、
ある一瞬の風景の中に
建つものではなく、

変化していく時間の中に
置かれていくもの。

 

そう考えると、
将来の風景もまた、
土地を読むための
大切な要素のひとつだと
言えるのかもしれません。

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