建築家・ナイトウタカシさんのブログ「今の暮らしとこれからの暮らしは同じ?」
今の暮らしとこれからの暮らしは同じ?
2026/03/07 更新
家づくりを考えるとき、
多くの人が、
「今の暮らし」を基準にします。
今の不便を解消したい。
今より広くしたい。
今より動きやすくしたい。
それは、
とても自然なことです。
けれど、
ひとつ立ち止まって
考えてみたい問いがあります。
今の暮らしと、
これからの暮らしは、
同じでいいのか。
今は、
仕事が中心かもしれない。
子育ての真っ最中かもしれない。
体力も、
時間の使い方も、
人との関わり方も、
数年後には
少しずつ変わっているかもしれません。
それでも、
間取りや空間を
「今の延長線上」だけで
考えてしまうことがあります。
忙しいから、
動線を最短に。
物が多いから、
収納を最大に。
けれど、
その忙しさは
ずっと続くのか。
その物の量は、
これからも増え続けるのか。
家は、
今だけを支える器ではありません。
時間の変化を
受け止める器です。
だからこそ、
少し先の自分たちを
想像してみる。
朝の過ごし方は
変わっていないか。
休日の過ごし方は
変わっていないか。
家で過ごす時間は
増えているのか、減っているのか。
今の暮らしを
否定する必要はありません。
ただ、
そのまま固定しなくていい。
未来の余白を、
ほんの少し残しておく。
用途を決めすぎない部屋。
役割を限定しすぎない空間。
変化を受け入れられる構造。
そうした柔らかさが、
これからの時間を
支えてくれます。
今の最適が、
ずっと最適とは限らない。
けれど、
変わる可能性を
あらかじめ許しておけば、
暮らしは
窮屈になりにくい。
家づくりは、
今を良くする作業であると同時に、
これからを
やわらかく迎える準備でもあります。
今の暮らしと、
これからの暮らし。
完全に同じでなくてもいい。
むしろ、
少し変わっていく前提で
考えてみる。
その視点が、
住まいに
静かな余裕を
もたらしてくれるのだと
感じています。
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