建築家・奥村亜紀子さんのブログ「耐震診断のススメ」
耐震診断のススメ
2012/09/20 更新
昨晩突然かかった電話。
「耐震診断はできますか?」
あるリフォーム会社からでした。
自社の案件で、お施主様から
「構造全体の瑕疵担保保険に加入したい。」
と言われ、それには評点を1にしなければならないという条件があるということ。
評点とは、何か?
法改正以前の建築物はもちろん現行法規の耐震性能は持ち合わせていないはず。
現在の建築基準法に耐震性能を合致させた場合を1として、その建物がどれだけ弱いか、強いかを数値で評価するといものです。
例えば、築40年近い木造住宅の評点を1にするには、どれだけのコストがかかるでしょう?
基礎、部材、金物、耐力壁、これら全ての項目について改修の必要性がでてくることから、数百万円から、数千万円までかかることも...。
建て替えた方が安くなる可能性もあるのです。
現実的に、昭和56年以前の建物の評点を1以上に持っていくのは不可能かと思います。
(実際低価格で出来た物件があればゴメンナサイ)
こういった場合、寝室だけ耐震補強するなどの手段をとります。
高齢者向けの制度で、寝室かリビングのみの耐震改修に補助金が出ることもあるので、お近くの市役所でご確認くださいね。
リフォーム会社の担当者とお話しさせていただいた結果、現実的でない旨お施主様にご説明する方向になりました。
担当者は
「お金にもならないのに、出向いて頂いて申し訳ありませんでした。」
と頭まで下げられました。
市役所の登録耐震診断士リストをみて私に連絡をくれたそうです。
私としてはこれも何かのご縁だと、ご連絡いただいた事に感謝しています。
以前聴講した阪神淡路大震災を体験された方の講演会で、
「自分の家が全壊さえしなければ、私は助ける側になれた。」
この言葉がとても強く心に残っています。
今、ちょっとお金をかけて耐震改修をしておけば、大地震に見舞われた時に全壊を免れるのです。
命と財産を守るためにも是非、役所で耐震診断士を探して相談してみて下さい!