建築家・ナイトウタカシさんのブログ「相談の場で、すぐに答えを出さない理由」
相談の場で、すぐに答えを出さない理由
2026/01/15 更新
家づくりのご相談を受けていると、
「今日は、どこまで決められますか?」
「この場合、どちらが正解なんでしょうか?」
そんなふうに
“答え”を求める言葉に触れることがあります。
もちろん、
不安な気持ちも、焦りも、よく分かります。
土地のこと、資金のこと、家族のこと。
考えるテーマがいくつも重なっているのですから、
「ひとまず、答えを出したい」
と思うのは、自然な感情だと思います。
ただ私は、
相談の場で
すぐに答えを出すことは、あまりありません。
それは、
迷っているからでもなく
判断を避けているからでもなく、
「その答えが、
“その場の安心”だけに寄っていないか」
を、静かに確かめたいからです。
相談の場では、
言葉にできたことよりも
まだ言葉になっていない気持ちの方が、
実は、大きかったりします。
ここまでの経緯。
ご家族との会話。
これからの暮らし方。
話しているうちに見えてくることもあれば、
沈黙の中で浮かび上がるものもあります。
その途中で
「では、こうしましょう」と決めてしまうと、
“いまの不安を解消するための答え”が
優先されてしまうことがあるのです。
家づくりは、
今日の安心だけで
決めてはいけない場面が、たくさんあります。
少し時間を置くことで、
違う景色に見えてくることもありますし、
ご夫婦で話してみて、
初めて気づくこともあります。
だから私は、
相談の場で
答えを急がないようにしています。
それは、
「決められない」からではなく、
「ていねいに決めたい」から。
いま出せる答えよりも、
明日、もう一歩深く考えた答えの方が、
その人にとって
やさしい判断になることがあるからです。
もしあなたが、
相談の途中で
「今日は結論が出なかったな」と感じたとしても、
それは、
前に進めていないのではなく、
“もう少し良いところへ向かう途中”
なのかもしれません。
あなたなら、
どんなタイミングで答えを出したいでしょうか。























