建築家・ナイトウタカシさんのブログ「言葉にならない違和感を、どう扱っているか」

言葉にならない違和感を、どう扱っているか

2026/01/16 更新

家づくりの相談の場では、

はっきりと言葉になっていない
「違和感」のようなものが
ふっと出てくることがあります。

 

それは、

「ここ、なんとなく落ち着かない気がします」

とか、



「良いと思うんだけど……少しだけ引っかかります」

というような、

とても曖昧で
理由の説明が難しい感覚だったりします。

 

多くの人は、

それを「上手く言えなくて申し訳ない」と感じて
飲み込んでしまったり、

「気のせいかもしれないし」と
自分の中で片づけてしまったりします。

 

でも私は、

そういう曖昧な違和感こそ
いちばん大切にしたいサインだと思っています。

 

なぜなら、

言葉にならない違和感というのは
まだ整理されていないだけで、



その奥には、

過去の経験や
暮らしの感覚や
身体的な居心地の記憶が、

静かに積み重なっているからです。

 

「理由を説明できる違和感」よりも、

「説明できない違和感」のほうが
本質に近いこともあります。

 

設計の打合せの中で
その感覚が出てきたとき、

私はすぐに解消しようとはしません。

 

「では、やめましょう」

とも、

「気にしなくて大丈夫ですよ」

とも言わず、

 

少しだけ間を置いて、

その違和感が
どこからやってきているのか、



一緒に
そっと辿るようにしています。

 

それは、

間取りの問題かもしれないし、

視線の抜け方かもしれないし、

空間の緊張感や
心の落ち着き方かもしれません。

 

中には、

「なぜだか分からないけれど、今はやめておきたい」

そんな結論になることもあります。

 

それでもいいんです。

 

家づくりは、

論理だけで進めるものではなく、

「自分の感覚をどう扱うか」を
確かめていく時間でもあるからです。

 

言葉にならない違和感を
無理に言語化しなくてもいい。

 

ただ、

そこに何かがあるということだけは
見逃さないように。

 

それが、

あとから振り返ったときに
「やっぱり、あのとき止まってよかった」と思える

大切な分岐点になることもあります。

 

あなたは今、

言葉にはできないけれど
少しだけ引っかかっていること、

ありませんか。

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