建築家・ナイトウタカシさんのブログ「要望の裏に、別の本音が隠れていること」

要望の裏に、別の本音が隠れていること

2026/01/20 更新

家づくりの相談の中で、
最初に出てくる言葉は、

とても分かりやすい「要望」の形をしています。

 

「収納を多くしたいんです」

「広いLDKが理想で」

「書斎がほしくて」

 

どれも正しいし、
どれも大切な言葉です。

 

でも、
話を少しずつ重ねていくうちに、

その言葉の奥に、
もうひとつ別の“理由”が顔を出すことがあります。

 

それは最初から
ことばになっていたわけではなく、

話しているうちに
ふと、思い出したように出てくるもの。

 

「前の家で、片づかないことがストレスで…」

「家族が集まる場所を、大切にしたくて」

「一人で落ち着ける時間が、ずっとなくて」

 

同じ「収納」でも、
同じ「広いLDK」でも、

そこに込められている想いは
人によって、まったく違います。

 

表に出てくる“要望”は、

暮らしの中で感じてきた
違和感や寂しさや不便さを、

ようやく
ことばにした、最初の入り口のようなもの。

 

だから私は、

「それをどう配置するか」よりも
「なぜ、そう感じたのか」を

ゆっくり一緒にたどる時間を
大切にしています。

 

ときには

「それ、本当は別の理由かもしれませんね」

とお伝えすることもあります。

 

要望を否定したいわけではなくて、

その奥にある“本音”を見つけられたほうが、
家づくりは、ずっとぶれにくくなるからです。

 

要望は形を変えても、
本音はあまり変わりません。

 

だからこそ、

間取りよりも先に
「気持ちの輪郭」を確かめておきたい。

 

それが見えてくると、

決断に迷ったときの
“戻る場所”が生まれます。

 

もし今、
何か言葉にしきれない希望や、

うまく整理できない要望があるなら、

それはまだ
途中のかたちのままでも大丈夫です。

 

少しずつ言い換えていく中で、

「あ、そうかもしれない」

と気づく瞬間が、きっとやってきます。

 

そのとき見えてくる“本当の望み”は、
どんなものなのだろう──

 

あなたの中にも、
まだ言葉になっていない想いが、

静かに残っていませんか。

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