建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「主人と意見が合わないんです。」」
「主人と意見が合わないんです。」
2026/08/15 更新
「主人と意見が合わないんです。」
このご相談も、とても多いように思います。
間取りのこと。
予算のこと。
土地のこと。
家づくりが進むほど、
少しずつ意見が違ってくることもあります。
だから私は、このお話を伺っても、
「どちらかが譲った方がいいですね。」
とは思わないんです。
まずは、
「どんなところで意見が違われるんでしょう。」
そんなふうに、お聞きすることから始めています。
すると、お話を伺ううちに、
意外なことが見えてくることがあります。
「主人は書斎が欲しいと言っていて。」
「私はリビングを広くしたくて。」
一見すると、
まったく違う希望のようにも見えます。
でも、
もう少しお話を伺っていくと、
ご主人は、
「家で仕事をする時間が増えそうだから。」
奥様は、
「家族みんなで過ごせる時間を大切にしたいから。」
そんな理由を話してくださいました。
そのお話を聞いていると、
私は時々、
「もしかすると、意見が違うわけではないのかもしれませんね。」
とお伝えすることがあります。
欲しいものが違うのではなく、
大切にしたい時間が違うだけ。
そんなことも、少なくないように思うからです。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
打ち合わせの最初に、
「全然意見が合わないんです。」
と笑いながら話してくださいました。
でも、
一時間ほどお話を伺っているうちに、
お二人とも、
「家では、ゆっくりしたい。」
という思いは同じだということが分かってきました。
ご主人は、
一人で静かに過ごせる時間を。
奥様は、
家族みんなで安心して過ごせる時間を。
望まれていたものは少し違いましたが、
目指していた暮らしは、
それほど離れていなかったように思います。
もちろん、
最後まで意見が分かれることもあります。
それは、悪いことではないように思うんです。
違う人が一緒に暮らすのですから、
考え方が違うのは、とても自然なことです。
大切なのは、
どちらが正しいかを決めることではなく、
お互いが何を大切にしているのかを知ることなのかもしれません。
ですから、
「主人と意見が合わないんです。」
と聞かれても、
私は、すぐに解決策を考えることはあまりありません。
まず知りたいのは、
お二人が、それぞれどんな暮らしを望まれているのか。
安心して過ごせる家なのかもしれません。
趣味を楽しめる家なのかもしれません。
家族が自然に集まる家なのかもしれません。
その思いが少しずつ見えてくると、
意見を合わせるというより、
新しい答えが見つかることもあるように思います。
家づくりは、
図面をまとめることではなく、
ご家族の思いを少しずつ重ねていく時間なのかもしれません。
私は、そんな時間をご一緒できたらと思っています。























