建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「この設備、本当に必要でしょうか?」」
「この設備、本当に必要でしょうか?」
2026/09/08 更新
「この設備、本当に必要でしょうか?」
家づくりが進んでくると、こんなご質問をいただくことがあります。
ショールームへ行くと、
便利そうな設備がたくさんあります。
自動で洗ってくれるもの。
スマートフォンから操作できるもの。
ボタン一つで開いたり、閉じたりするもの。
説明を聞いていると、
どれもあった方がよさそうに思えてきます。
でも、金額を見ると、
「本当に必要なのかな。」
と迷ってしまう。
そんなこともあるようです。
私はそんなとき、
「便利なので付けた方がいいですよ。」
とも、
「なくても困りませんよ。」
とも、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まずは、
「それって、どんなときに使いそうですか?」
そんなふうに、お聞きしてみます。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
ある設備を付けるかどうか迷われていました。
ショールームで説明を受けて、
とても便利そうに感じたそうです。
「せっかく新築するなら、付けておいた方がいいですよね。」
とおっしゃいました。
そこで、
「今の暮らしで、それがなくて困ることはありますか?」
と、お聞きしてみました。
すると、
少し考えられたあと、
「困ってはいないですね。」
という答えが返ってきました。
さらに、
「では、その設備があったら、いつ使いそうですか?」
と伺うと、
お二人で顔を見合わせて、
「……いつでしょうね。」
と笑われました。
設備そのものが欲しかったというより、
便利そうだから気になっていたのかもしれません。
もちろん、
新しい設備によって、
毎日の負担が大きく減ることもあります。
毎朝必ず使うもの。
共働きのご夫婦にとって、
家事の時間を短くしてくれるもの。
身体への負担を減らしてくれるもの。
そうした設備なら、
そのご家族にとって大きな価値があるかもしれません。
一方で、
年に数回しか使わない機能もあります。
付けたときには便利だと思っていても、
何年かすると、
ほとんど使わなくなっていることもあります。
便利な設備だからといって、
すべてのご家族に便利とは限らないんですよね。
だから私は、
設備を選ぶとき、
機能の数だけを見るのではなく、
一日の暮らしの中に、その設備を置いてみることがあります。
朝起きてから使うのか。
仕事から帰ってきたときに使うのか。
毎日の家事で使うのか。
休日だけ使うのか。
そうやって想像してみると、
「これは毎日使いそう。」
というものもあれば、
「意外と使わないかもしれない。」
というものも見えてきます。
ですから、
「この設備、本当に必要でしょうか?」
と聞かれたとき、
私は、設備の性能を比べる前に、
いつ、誰が、どんな場面で使うのか。
そこを一緒に考えてみたいと思っています。
毎日の小さな負担を減らしてくれるのかもしれません。
家族の時間を増やしてくれるのかもしれません。
あるいは、
なくても今までとほとんど変わらないのかもしれません。
そのことが見えてくると、
「付ける」「付けない」も、
少し決めやすくなるように思います。
家づくりでは、
便利なものをたくさん揃えることよりも、
自分たちの暮らしに、本当に便利なものを選ぶこと。
私は、そんな視点から一緒に設備を考えていけたらと思っています。























