建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「開放的な家にしたいんです。」」
「開放的な家にしたいんです。」
2026/09/20 更新
「開放的な家にしたいんです。」
家づくりのご相談で、よく伺うご希望の一つです。
広いリビング。
大きな窓。
吹き抜けのある空間。
できるだけ壁や扉を少なくして、
家全体がつながっている。
「そんな家が気持ちよさそうで。」
とおっしゃる方もいらっしゃいます。
でも私は、
「では、リビングを広くして吹き抜けをつくりましょう。」
とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まず、
「どんなときに、開放的だと感じますか?」
と、お聞きしてみます。
開放感というと、
どうしても「広さ」を想像しやすいですよね。
20畳より25畳。
天井は低いより高い方がいい。
窓も、小さいより大きい方がいい。
もちろん、
実際の広さが開放感につながることもあります。
でも、お話を伺っていると、
必ずしも面積だけではないことがあります。
例えば、
それほど広くない部屋でも、
窓の向こうに庭が続いていると、
広く感じることがあります。
廊下の先に窓があって、
視線が遠くまで抜けている。
天井の一部だけが高くなっている。
隣の部屋が少し見えている。
そんなことでも、
人は広がりを感じることがあります。
「広い」と「広く感じる」は、少し違うんですよね。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「できるだけ開放的なリビングにしたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「今まで行った場所で、開放的だと感じたところはありますか?」
とお聞きしてみました。
すると奥様が、
以前泊まったホテルのラウンジのお話をしてくださいました。
「ものすごく広かったんですか?」
と伺うと、
「いえ、そこまでではなかったと思います。」
とのこと。
では、何が印象に残っていたのか。
もう少し聞いてみると、
大きな窓の向こうに庭が見えていて、
室内から外まで空間が続いているように感じたそうです。
さらに、
ソファに座ったときに、
人の視線が気にならなかったことも覚えていらっしゃいました。
そこで、
「もしかすると、広いことよりも、視線が遠くまで抜ける感じがお好きなのかもしれませんね。」
とお話しすると、
「そうかもしれません。」
と。
求めていたのは、
大きなリビングそのものではなく、
視線が閉じ込められない感覚だったのかもしれません。
開放感には、
いろいろなつくり方があります。
面積を広くする。
視線を庭まで伸ばす。
窓から空を見せる。
天井の高さに変化をつける。
光を部屋の奥まで届ける。
隣の空間の気配を少し感じられるようにする。
どれも、
開放感につながる可能性があります。
反対に、
広いリビングをつくっても、
外からの視線が気になってカーテンを閉めていたら、
思っていた開放感とは違ってしまうかもしれません。
それに、
開放的であることだけが、
いつも心地いいとも限りません。
家族と過ごす場所は広くしたいけれど、
一人で本を読む場所は少し囲まれていた方が落ち着く。
昼間は庭まで視線が抜けてほしいけれど、
夜は外から見られず安心して過ごしたい。
そんな感覚もあります。
家の中に、
開いた場所と少し閉じた場所があるからこそ、
開放感を強く感じることもあるように思います。
ですから、
「開放的な家にしたいんです。」
と聞いたとき、
私はまず、
何が開いていると、心地いいと感じるのか。
そこを一緒にほどいてみたいと思っています。
空間の広さなのか。
視線の抜けなのか。
光なのか。
庭とのつながりなのか。
あるいは、
家族の気配を感じられることなのかもしれません。
そこが分かってくると、
単純に面積を大きくしなくても、
そのご家族らしい開放感をつくれることがあります。
開放的な家を考えることは、
ただ壁を減らし、空間を広くすることではありません。
自分たちにとって、何から解放されると心地いいのか。
私は、そんな感覚までお聞きしながら、そのご家族に合った「開放的な家」を一緒に考えていけたらと思っています。「開放的な家にしたいんです。」























