建築家・ナイトウタカシさんのブログ「リビングとダイニング、分けない方がいい?」
リビングとダイニング、分けない方がいい?
2026/09/27 更新
「リビングとダイニングって、分けない方がいいですよね?」
家づくりのお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
最近の間取りを見ると、
リビングとダイニング、キッチンまで、
一つの大きな空間になっていることが多いですよね。
広く見えるし、
家族も一緒に過ごしやすそう。
「わざわざ分ける必要って、ないですよね?」
そう思われるのも自然だと思います。
そんなとき私は、
「そうですね。つなげた方がいいですよ。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「リビングとダイニングでは、普段どんなふうに過ごされていますか?」
と、お聞きしてみます。
リビングとダイニング。
間取り図では、
「LDK」と一つの言葉で書かれることが多い場所です。
でも実際に暮らしてみると、
そこでしていることは少し違います。
ダイニングでは、
食事をする。
子どもが宿題をする。
パソコンを開く。
郵便物を見る。
家族で話をする。
一方でリビングでは、
テレビを見る。
ソファで横になる。
本を読む。
何もしないで過ごす。
同じ家族が使う場所でも、
求めている時間は少し違うことがあります。
以前、ご相談いただいたご家族も、
「LDKはできるだけ広く、一体にしたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「休日は、みなさんどんなふうに過ごしていますか?」
とお聞きしてみました。
ご主人は、
ソファでテレビを見ていることが多い。
奥様は、
ダイニングテーブルで本を読んだり、
パソコンを使ったりする。
お子さんは、
ダイニングで絵を描いたり、
リビングの床で遊んだりしている。
同じ場所にはいるけれど、
全員が同じことをしているわけではありませんでした。
奥様が、
「そういえば、テレビの音が気になることはありますね。」
とおっしゃいました。
だからといって、
リビングとダイニングを壁で完全に分けたいわけでもありません。
家族がいることは感じていたい。
でも、
それぞれのこともしていたい。
求めていたのは、
完全につながった一室というより、
一緒にいながら、少し距離を持てる場所だったのかもしれません。
リビングとダイニングを分けるといっても、
必ずしも壁や扉が必要なわけではありません。
少し配置をずらす。
天井の高さを変える。
家具の向きを変える。
小さな壁をつくる。
窓の向きを変える。
それだけでも、
同じ空間の中に、
少し違う居場所をつくることができます。
リビングからダイニングは見える。
声も届く。
でも、
座ってみると少し落ち着く。
そんな距離もあります。
反対に、
リビングとダイニングをしっかりつなげた方が、
暮らしやすいご家族もいます。
食事が終わったら、
そのままみんなでテレビを見る。
子どもが遊んでいる横で、
親が食事の片づけをする。
家族が同じ場所で過ごす時間が長い。
そんな暮らしなら、
一体になった空間が心地いいこともあります。
つまり、
つなげること自体がいいわけでも、
分けること自体がいいわけでもないんですよね。
そのご家族が、家の中でどんな距離で過ごしているのか。
そこから考えてみることが大切なのかもしれません。
家づくりでは、
「広いLDK」という言葉をよく目にします。
もちろん、
広々とした一つの空間には、
その良さがあります。
でも、
面積が広ければ、
居場所が増えるとは限りません。
大きな一室より、
少し性格の違う場所がいくつかある方が、
家族それぞれが心地よく過ごせることもあります。
家族の誰かと話したいとき。
同じ場所にいたいとき。
少しだけ離れたいとき。
一人で何かに集中したいとき。
暮らしの中では、
必要な距離も変わっていきます。
ですから、
「リビングとダイニングって、分けない方がいいですよね?」
と聞かれたとき、
私は、
そこで家族が、どんなふうに一緒に過ごしたいのか。
そこをまずお聞きしてみたいと思っています。
いつも同じことをしているのか。
それぞれ違うことをしながら、
同じ場所にいたいのか。
声は聞こえていたいけれど、
少し距離が欲しいのか。
そこが分かってくると、
つなげるか、分けるかだけではない答えも見えてきます。
つながっているけれど、少し離れられる。
そんな曖昧な距離が、
そのご家族にはちょうどいいこともあります。
私は、間取りを決める前に、普段ご家族がどんな距離で過ごしているのかをお聞きしながら、その家族に合った「つながり方」を一緒に考えていけたらと思っています。























