建築家・ナイトウタカシさんのブログ「住まいは固定されたものではない」
住まいは固定されたものではない
2026/06/25 更新
住み始めて何年か経った頃、
家の様子を見せていただくと、
「最初と、だいぶ変わりましたね」
そんな会話になることがあります。
家具の配置。
過ごす場所。
空間の使い方。
引き渡し直後とは、
少し違う雰囲気になっていることがあります。
けれど、
その変化は、
悪いことではありません。
むしろ、
暮らしが自然に重なってきた証でもあります。
住まいは、
完成した瞬間に
すべてが固定されるものではありません。
時間が流れ、
暮らし方が変わることで、
空間の意味も
少しずつ変わっていきます。
家族の成長。
働き方の変化。
過ごし方の変化。
その時々で、
必要な距離感や居場所も変わっていく。
だから、
最初に決めた使い方だけが
正解とは限りません。
以前は使っていなかった場所が、
落ち着く居場所になることもある。
逆に、
最初に想定していた使い方が、
自然と変わっていくこともあります。
その変化を受け止められることが、
長く暮らす住まいには
大切なのかもしれません。
もし、
空間が強く固定されすぎていると、
暮らしの変化に対して、
窮屈さが生まれることがあります。
けれど、
少し余地があることで、
その時々の暮らしに合わせて、
柔らかく変わっていける。
設計では、
完成時の形だけではなく、
その先の変化も
どこかで考えています。
住まいは、
完成された“物”というより、
暮らしと一緒に変化していく
“場所”に近いのかもしれません。
時間を重ねながら、
少しずつ関係が変わっていく。
その変化を受け止めながら、
住まいは
自分たちらしい形へと
育っていくのだと思っています。























