建築家・ナイトウタカシさんのブログ「想像していた暮らしと、実際の暮らしのズレ」
想像していた暮らしと、実際の暮らしのズレ
2026/05/12 更新
住み始めてしばらくした頃、
こんなふうに話していただくことがあります。
「思っていたのと、少し違う感じもあって…」
大きな不満があるわけではない。
けれど、
想像していた暮らしと、
どこか少しだけずれている。
その違いに、
ふと気づく瞬間です。
設計の段階では、
これからの暮らしを
何度も思い描いてきます。
ここで過ごす時間。
ここでの動き。
図面や言葉を通して、
イメージを重ねていく。
けれど、
実際の暮らしは、
その想像と
完全に同じにはなりません。
生活のリズム。
日々のちょっとした動き。
そのときの気分や、
家族との関係。
そうした要素が重なって、
暮らしは
少しずつ形を変えていきます。
想像は、
ある方向を示してくれます。
けれど、
現実はそこに
さまざまな要素が加わる。
その差が、
ズレとして感じられることがあります。
このズレは、
失敗というわけではありません。
むしろ、
暮らしが現実として
動き始めている証でもあります。
想像の中では見えなかったことが、
少しずつ見えてくる。
使いながら気づくこと。
過ごしながら整っていくこと。
その中で、
自分たちなりの暮らし方が
生まれていきます。
大切なのは、
想像通りにすることではなく、
そのズレを
どう受け止めていくか。
少し変えてみる。
使い方を工夫してみる。
あるいは、
そのまま馴染ませていく。
その積み重ねの中で、
暮らしは
自分たちらしい形へと
近づいていきます。
想像していた暮らしと、
実際の暮らしのズレは、
違ってしまったことではなく、
これから調整していく余地。
その余白があるからこそ、
住まいは少しずつ、
自分たちのものになっていくのだと
思っています。























