建築家・ナイトウタカシさんのブログ「少し不便でも、心地よいと感じる瞬間」
少し不便でも、心地よいと感じる瞬間
2026/06/12 更新
打ち合わせの中で、
こんな話になることがあります。
「効率だけなら、
もっと別の形もありますよね」
移動距離を短くする。
すぐ手が届く位置に収納をつくる。
できるだけ無駄なく動けるようにする。
家づくりでは、
便利さや効率を考える場面が多くあります。
もちろん、
それはとても大切なことです。
けれど、
暮らしていると、
少し不便でも、
なぜか心地よく感じる瞬間があります。
たとえば、
少し遠回りになる廊下。
けれど、
その途中で窓から光が入ってくる。
ほんの少し立ち止まりたくなる。
あるいは、
キッチンから庭が見える場所。
動線だけを考えれば、
もっと効率的な配置もあるかもしれません。
それでも、
その景色があることで、
毎日の気持ちが少し変わることがあります。
暮らしは、
作業だけではできていません。
急がずに過ごす時間。
ぼんやりする時間。
何気なく景色を見る瞬間。
そうしたものも、
毎日の心地よさを支えています。
だから、
便利さだけを優先すると、
どこか味気なく感じることもあります。
逆に、
少し余白があることで、
気持ちにゆとりが生まれることがある。
もちろん、
不便なほうがいい、ということではありません。
ただ、
効率だけでは測れない価値もある。
その感覚を、
住まいの中に少し残しておくことは、
長く暮らしていく上で
大切なのかもしれません。
少し不便でも、
なぜか好きだと思える場所。
その感覚の中に、
自分たちらしい心地よさが
隠れていることがあるのだと思っています。























