建築家・ナイトウタカシさんのブログ「完成後も続いていく調整」
完成後も続いていく調整
2026/06/21 更新
住み始めてしばらく経った頃、
こんなふうに話していただくことがあります。
「少しずつ、
使い方が変わってきています」
最初は、
図面で考えていた通りに
暮らそうとすることが多い。
ここに物を置いて、
ここを通って、
こう使うはずだった。
けれど、
実際に暮らしてみると、
少し違う動きが
自然と生まれてくることがあります。
置き場所が変わったり、
過ごす場所が変わったり。
その変化に合わせて、
空間との付き合い方も
少しずつ変わっていく。
この調整は、
完成後も終わることがありません。
住まいは、
完成した瞬間に
すべてが固定されるものではないからです。
暮らし方は、
時間とともに変わっていきます。
家族の関係。
生活リズム。
大切にしたい時間。
そうした変化に合わせて、
空間の使われ方も
少しずつ変わっていく。
その中で、
「いまの自分たちに合う形」へと
調整されていきます。
設計では、
最初の使いやすさを整えることも大切ですが、
変化を受け止められる余地を
残しておくことも大切だと思っています。
少し使い方を変えられる。
少し置き方を変えられる。
そうした柔らかさがあることで、
暮らしの変化にも
無理なく対応していけます。
完成後も続いていく調整は、
問題が起きているというより、
暮らしが実際に動き始めている証なのかもしれません。
住みながら整えていく。
その積み重ねの中で、
住まいは少しずつ
「完成した家」から、
「自分たちの暮らしの場所」へと
変わっていくのだと思っています。























