建築家・ナイトウタカシさんのブログ「最初の状態が、正解とは限らない」
最初の状態が、正解とは限らない
2026/06/24 更新
住み始めたばかりの頃、
こんなふうに話していただくことがあります。
「まだ、
これが正しい使い方なのか分からなくて…」
新しい家に入ると、
最初は図面で考えていた通りに
暮らそうとすることが多くあります。
ここに物を置いて、
ここで過ごして、
こう動くはずだった。
設計の段階で整えてきた形を、
まずはそのまま試してみる。
けれど、
実際に暮らし始めると、
少しずつ違う感覚が出てくることがあります。
思っていたより、
別の場所にいる時間が長かったり、
想定していた使い方が、
自然には続かなかったり。
その変化に対して、
「最初と違ってしまった」と
不安になることもあります。
けれど、
最初の状態が、
必ずしも正解とは限りません。
設計は、
暮らしを想像しながら整えていきます。
ただ、
実際の生活には、
その人の癖や、
日々の感覚があります。
それは、
住んでみないと見えてこない部分でもあります。
だからこそ、
暮らし始めてから、
少しずつ形が変わっていくのは、
自然なことです。
置き場所が変わる。
過ごす場所が変わる。
空間の意味が変わる。
その変化は、
間違いではなく、
暮らしが実際に動き始めた証なのかもしれません。
もし、
最初の形だけに
無理に合わせ続けようとすると、
どこか窮屈さが残ることがあります。
けれど、
今の暮らし方に合わせて、
少しずつ整え直していくことで、
住まいは
より自然な場所になっていきます。
最初の状態は、
完成形ではなく、
暮らしが始まるための
ひとつの出発点。
その感覚を持っていると、
変化に対しても、
少し柔らかく向き合えるのかもしれません。























