建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「パントリーは広い方がいいですよね?」」
「パントリーは広い方がいいですよね?」
2026/09/12 更新
「パントリーは広い方がいいですよね?」
キッチンのお話をしていると、こんなご質問をいただくことがあります。
食品のストック。
飲み物。
調味料。
お米。
非常食。
ホットプレートやカセットコンロ。
考えてみると、キッチンまわりには置いておきたいものがたくさんあります。
「あとから収納が足りなくなるのが嫌なので、できるだけ広くしておきたいです。」
そう思われるのも自然なことかもしれません。
でも私は、
「広い方が安心ですよ。」
とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まず、
「普段、買い物はどれくらいの頻度でされていますか?」
そんなことをお聞きしてみます。
毎日、必要なものを少しずつ買うご家庭もあります。
週末に一週間分をまとめて買うご家庭もあります。
お米や飲み物を箱で買う方もいれば、
ほとんどストックを持たない方もいます。
料理の仕方も違います。
調味料をたくさん使う方。
保存食をつくる方。
冷凍食品を多く使う方。
キッチン家電をいくつも使い分ける方。
そう考えると、
必要なパントリーの大きさは、
家族の人数だけでは決めにくいんですよね。
以前、ご相談いただいたご家族も、
「できれば三畳くらいのパントリーが欲しいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「そこには何を置く予定ですか?」
とお聞きしてみました。
食品のストック。
飲み物。
お米。
あとはキッチン家電。
そんなお話でした。
さらに、
「買い物はどれくらいの頻度でされていますか?」
と伺うと、
「スーパーが近いので、二、三日に一度くらいですね。」
とのこと。
食品も、
それほど大量に買い置きすることはないそうです。
では、どうして三畳くらい欲しいと思われたのか。
もう少しお話を聞いてみると、
「キッチンに物が出ているのが嫌なんです。」
という言葉が出てきました。
そこで初めて、
少し違うことが見えてきました。
欲しかったのは、
大量の食品を収納する場所というより、
キッチンをすっきり保てる場所だったんです。
それなら、
広いパントリーをつくることだけが答えではないかもしれません。
毎日使う家電は、
扉を開ければすぐ使える場所へ。
食品のストックは、
量に合わせた棚へ。
あまり使わないものは、
別の収納へ。
そうやって分けて考えると、
大きな部屋を一つつくらなくても、
使いやすくなることがあります。
反対に、
週末にまとめ買いをして、
飲み物や食品を箱単位でストックするご家庭なら、
ある程度の広さがあった方が使いやすいかもしれません。
つまり、
「広い方がいい」ではなく、
何を、どれくらい置くのか。
そこから考えた方がよさそうです。
もう一つ、
私は料理の仕方もお聞きすることがあります。
例えば、
「料理をしているとき、よく使うものは何ですか?」
毎日使う調味料まで、
少し離れたパントリーへ取りに行くのでは、
収納量は増えても使いにくくなるかもしれません。
反対に、
週に一度しか使わないものなら、
キッチンの一番使いやすい場所に置く必要はないでしょう。
収納は、
たくさん入ることだけでなく、
使う場所と、しまう場所の距離も大切なんですよね。
ですから、
「パントリーは広い方がいいですよね?」
と聞かれたとき、
私は広さを決める前に、
普段の買い物や料理について聞いてみたいと思っています。
何日分を買うのか。
どんなものをストックするのか。
料理中に何をよく使うのか。
そして、
なぜパントリーが欲しいと思ったのか。
そこまで見ていくと、
必要なのは大きなパントリーなのか、
キッチンの近くにある使いやすい収納なのか、
少しずつ見えてきます。
パントリーの広さを考えることは、
収納の面積を決めることだけではありません。
そのご家族が、食べることや料理とどう付き合っているのかを、間取りに置き換えていくこと。
私は、そんな普段の暮らしのお話から、一緒に考えていけたらと思っています。























