建築家・ナイトウタカシさんのブログ「庭は、どれくらいの広さがあればいい?」
庭は、どれくらいの広さがあればいい?
2026/10/03 更新
「庭って、どれくらいの広さがあれば十分ですか?」
土地や間取りのお話をしていると、
こんなご質問をいただくことがあります。
子どもが遊べるくらい。
バーベキューができるくらい。
できれば少し植栽もしたい。
でも、
庭を広くすれば、
その分だけ建物に使える場所は小さくなる。
土地にも限りがあります。
「何坪くらいあれば、庭として十分なんでしょう?」
そんなふうに聞かれることもあります。
そんなとき私は、
「これくらいあれば十分ですよ。」
とは、すぐにはお答えしません。
まず、
「庭で、何をしているところを想像されていますか?」
と、お聞きしてみます。
庭というと、
どうしても広さを考えます。
何メートル取れるか。
何坪あるか。
子どもが走れるか。
テーブルを置けるか。
もちろん、
実際に庭で何かをしたいのであれば、
必要な広さはあります。
でも、
庭との付き合い方は、
外へ出ることだけではありません。
リビングから木を見る。
ダイニングから季節の変化を感じる。
朝、カーテンを開けると緑が見える。
風が吹いて、
葉が動いている。
家の中から、
そんな景色を眺めることも、
庭との関わり方の一つだと思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「庭はできるだけ広く取りたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「庭では何をされたいですか?」
とお聞きしてみました。
「子どもを遊ばせたり、バーベキューをしたりですかね。」
さらに、
「どれくらいの頻度でされそうですか?」
と伺うと、
お二人で少し考えて、
「バーベキューは、年に何回かですかね。」
と。
お子さんも、
公園で遊ぶことの方が多いそうでした。
そこで、
「では、普段は庭をどう感じられたら嬉しいですか?」
と聞いてみました。
奥様が、
「ダイニングから緑が見えたらいいですね。」
とおっしゃいました。
朝食を食べるとき。
休日にコーヒーを飲むとき。
夕方、
キッチンからふと外を見たとき。
そこに一本の木が見える。
お話をしていくと、
お二人が欲しかったのは、
大きな庭そのものというより、
暮らしの中に、外を感じられる場所があることだったんです。
そう考えると、
庭の広さだけを追いかけなくてもよくなります。
例えば、
それほど大きくない庭でも、
リビングの窓の正面に木が一本ある。
ダイニングから、
その木の枝先が見える。
春には新しい葉が出て、
夏には影ができる。
秋には色が変わり、
冬には枝越しに空が見える。
毎日家の中から見ていれば、
その小さな庭が、
暮らしの中では意外と大きな存在になることがあります。
反対に、
広い庭があっても、
室内からほとんど見えなかったり、
出入りしにくかったりすれば、
次第に使わなくなることもあります。
だから私は、
庭を考えるとき、
庭だけを見ないようにしています。
リビングのソファから、
どう見えるのか。
ダイニングに座ったとき、
何が見えるのか。
キッチンに立ったとき、
どこまで外を感じられるのか。
窓を開けたら、
自然に外へ出られるのか。
つまり、
庭の広さより、家の中と庭がどうつながっているのか。
そこが大切になることもあります。
もちろん、
庭でサッカーをしたい。
家庭菜園をしたい。
大きなテーブルを置いて、
家族や友人と食事をしたい。
そんな具体的な目的があれば、
それに合った広さを考えていきます。
大切なのは、
「庭ならこれくらい必要」と決めることではなく、
そのご家族が庭とどう付き合いたいのかを知ることだと思います。
庭へ出て楽しみたい人もいる。
手入れを楽しみたい人もいる。
家の中から眺めていたい人もいる。
庭との距離も、
ご家族によって違います。
ですから、
「庭って、どれくらいの広さがあれば十分ですか?」
と聞かれたとき、
私は、
「その庭を、家の中からどんなふうに感じていたいですか?」
とも、お聞きしてみたいと思っています。
外へ出て遊びたいのか。
食事をしたいのか。
木を眺めたいのか。
季節を感じたいのか。
それによって、
必要な庭の広さも、
窓の位置も、
建物との関係も変わってきます。
庭は、
余った土地につくるものでも、
広ければ広いほどいいものでもないのかもしれません。
小さくても、毎日の暮らしからよく見える庭。
広くても、思いきり使える庭。
どちらにも、それぞれの良さがあります。
私は、「何坪あれば十分か」を決める前に、その庭が家族の毎日の中にどう登場するのかをお聞きしながら、家と庭を一緒に考えていけたらと思っています。























