建築家・ナイトウタカシさんのブログ「整ってきた時ほど違和感が見えることがある」
整ってきた時ほど違和感が見えることがある
2026/05/06 更新
打ち合わせを重ねて、
図面や仕様がだいぶ整ってきたころ、
「ほとんどいいと思うんですが、
ここだけ少し気になっていて…」
そんな声を聞くことがあります。
大きな方向は決まっている。
全体としては、
まとまってきている。
それでも、
一部分だけが引っかかる。
この感覚に、
少し戸惑うこともあるかもしれません。
ここまで整ってきたのに、
なぜまた違和感が出てくるのか。
もう少しで終わりのはずなのに、
また立ち止まってしまう。
けれど、
この変化はとても自然です。
設計の初期は、
全体を見る段階です。
大きな方向や、
暮らしの骨格を整えていく。
そのときは、
細かな違和感は
まだ見えにくい状態です。
そして、
全体が整ってくると、
今度は視点が
細部へと移っていきます。
余計な迷いが減ることで、
小さな違いに気づけるようになる。
整ってきたからこそ、
見えてくるものがある。
違和感が出てくるのは、
設計が崩れているからではなく、
むしろ、
精度が上がっている状態とも言えます。
大きな方向に問題があれば、
そこに意識が向きます。
けれど、
そこが整っているから、
細かな部分に
目がいくようになる。
その違和感は、
無理に消す必要はありません。
どこでそう感じるのか。
どんな状態なら
しっくりくるのか。
それを少しずつ
確かめていくことで、
空間は
もう一段整っていきます。
整ってきたときに出てくる違和感は、
終わりを遠ざけるものではなく、
仕上がりを
より自分たちらしいものへと
近づけるための手がかり。
その感覚をそのまま受け止めて、
あと少しだけ、
丁寧に見てみる。
その積み重ねが、
静かな納得につながっていくのだと
思っています。























