建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「おしゃれな家にしたいんです。」」
「おしゃれな家にしたいんです。」
2026/08/21 更新
「おしゃれな家にしたいんです。」
この言葉も、ご相談の中でよく伺います。
「せっかく建てるなら、素敵な家にしたくて。」
「SNSで見たような家に憧れます。」
そんなお気持ちになるのは、とても自然なことだと思います。
でも私は、このお話を伺っても、
「では、このテイストがおすすめです。」
とは、お答えしないことが多いんです。
まずは、
「どんなところを、おしゃれだと感じられたんですか?」
そんなふうに、お聞きすることから始めています。
すると、ご家族によって返ってくる答えは、本当にさまざまです。
「木の雰囲気が好きなんです。」
「ホテルみたいな落ち着いた感じが好きで。」
「余計なものがない空間に憧れます。」
「うまく説明できないんですが、何となく好きで。」
同じ「おしゃれ」という言葉でも、
思い描いているものは、それぞれ違うように思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「とにかく、おしゃれな家にしたいんです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「今まで行った場所で、『この空間、好きだな』と思ったところはありますか。」
と、お聞きしてみました。
少し考えられて、
「旅行先で泊まったホテルですね。」
と話してくださいました。
さらにお話を伺うと、
好きだったのは豪華な家具でも、
特別な照明でもありませんでした。
「静かだったんです。」
「窓から光が入ってきて、時間がゆっくり流れている感じがして。」
そのお話を聞いて、
もしかすると求めていたのは、
おしゃれなデザインではなく、
その場所で感じた心地よさだったのかもしれない、と思いました。
もちろん、
見た目はとても大切です。
毎日暮らす家ですから、
「好きだな」と思えることは、大きな価値だと思います。
でも、
写真では素敵に見えた家が、
自分たちの暮らしには少し合わないこともあります。
反対に、
派手ではなくても、
毎日過ごしているうちに、
「この家、やっぱり好きだな。」
そう感じられる家もあります。
ですから、
「おしゃれな家にしたいんです。」
と聞かれても、
私は、どんなデザインが流行っているかよりも、
どんな空間にいると、心地よいと感じられるのか。
そこを知りたいと思っています。
自然の光が好きなのかもしれません。
静かな空気が好きなのかもしれません。
木の質感に安心するのかもしれません。
その思いが見えてくると、
「おしゃれ」という言葉も、
そのご家族だけの形になっていくように思います。
家づくりでは、
流行を追いかけることよりも、
「この家は、自分たちらしい。」
そう思えることの方が、長く愛着につながるのかもしれません。
私は、そんな家づくりをご一緒できたらと思っています。























