建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「子どものための家にしたいんです。」」
「子どものための家にしたいんです。」
2026/08/25 更新
「子どものための家にしたいんです。」
この言葉も、ご相談の中でよく伺います。
「子どもがのびのび育つ家にしたくて。」
「子どものことを一番に考えたいんです。」
親であれば、そう思われるのは、とても自然なことだと思います。
でも私は、このお話を伺っても、
「では、お子さん中心の家にしましょう。」
とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まずは、
「どんなふうに育ってほしいと思われていますか。」
そんなふうに、お聞きすることから始めています。
すると、ご家族によって返ってくる答えは、本当にさまざまです。
「元気に遊んでくれたら。」
「家族との時間を大切にする子になってほしくて。」
「自分で考えられる子になってほしいです。」
「安心して帰ってこられる場所であってほしいですね。」
同じ「子どものため」という言葉でも、
願われていることは、それぞれ違うように思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「子どものための家にしたいんです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「お子さんが大人になったとき、この家を思い出すとしたら、どんな記憶が残っていたら嬉しいですか。」
と、お聞きしてみました。
少し考えられたあと、
奥様が、
「家族みんなで夕食を食べていた時間ですかね。」
と話してくださいました。
ご主人も、
「リビングで一緒に笑っていたことかもしれません。」
と続けられました。
そのお話を伺って、
もしかすると大切なのは、
子ども部屋を広くすることではなく、
家族が自然に集まれる時間をつくることなのかもしれない、と思いました。
もちろん、
お子さんの成長を考えた間取りは大切です。
勉強する場所や、
遊ぶ場所、
安全に過ごせる工夫も必要でしょう。
でも、
子どもは少しずつ成長していきます。
何年かすると、
部屋にいる時間が増えるかもしれませんし、
やがて家を離れる日もやってきます。
だからこそ、
「子どものため」だけで考えるより、
家族みんなが心地よく暮らせる家を考えることも、大切なのではないかと思うのです。
ですから、
「子どものための家にしたいんです。」
と聞かれても、
私は、間取りの話を始める前に、
どんな家族でありたいと思われているのか。
そこを知りたいと思っています。
一緒に食事をする時間なのかもしれません。
安心して話せる空間なのかもしれません。
それぞれが自分らしく過ごせる距離感なのかもしれません。
その思いが見えてくると、
「子どものための家」は、
いつの間にか家族みんなのための家になっていくことがあります。
家づくりでは、
子どものために何を用意するかよりも、
どんな時間を家族で積み重ねていきたいのか。
私は、そんなお話を伺いながら、一緒に家づくりを考えていけたらと思っています。























