建築家・ナイトウタカシさんのブログ「「私たちに合う家って、どんな家?」」
「私たちに合う家って、どんな家?」
2026/08/28 更新
「私たちに合う家って、どんな家なんでしょう。」
このご質問は、家づくりの最後の方だけではなく、
最初のご相談でも、ときどきいただきます。
「いろいろ見てきたんですが、分からなくなってしまって。」
「好きな家はあるんです。でも、自分たちに合うかは分からなくて。」
そんなお気持ちを話してくださる方も少なくありません。
でも私は、このご質問にも、
「それなら、こんな家がおすすめです。」
とは、すぐにはお答えしないことが多いんです。
まずは、
「どんなときに、ご自宅で『心地いいな』と感じますか。」
そんなふうに、お聞きすることから始めています。
すると、ご家族によって返ってくる答えは、本当にさまざまです。
「休日に家族でのんびりしているときです。」
「一人で本を読んでいる時間ですね。」
「友人が遊びに来てくれる日が好きなんです。」
「仕事から帰ってきて、ホッとした瞬間でしょうか。」
同じ「合う家」という言葉でも、
大切にしたい時間は、それぞれ違うように思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
「私たちに合う家が分からないんです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「これまで暮らしてきた家の中で、一番好きだった場所はありますか。」
と、お聞きしてみました。
少し考えられたあと、
奥様が、
「実家のダイニングです。」
と話してくださいました。
理由を伺うと、
特別に広かったわけでも、
おしゃれだったわけでもありません。
家族が自然と集まって、
何気ない話をしていた場所だったそうです。
そのお話を聞いて、
私は、
もしかすると探しているのは、
理想の家ではなく、
理想の時間なのかもしれない、と思いました。
もちろん、
性能も大切です。
デザインも大切です。
予算や立地も、
家づくりには欠かせない要素です。
でも、
それらを一つひとつ決めていっても、
「自分たちらしい家」になるとは限りません。
反対に、
大切にしたい時間がはっきりしているご家族は、
迷ったときにも、
「私たちは、こっちを選びたい。」
と決められることがあります。
ですから、
「私たちに合う家って、どんな家なんでしょう。」
と聞かれても、
私は、間取りやデザインのお話をする前に、
どんな毎日を過ごせたら、『この家にしてよかった』と思えそうでしょうか。
そこを知りたいと思っています。
朝の光を感じながら過ごす時間なのかもしれません。
家族で笑い合う夕食なのかもしれません。
静かに一人になれる場所なのかもしれません。
その思いが少しずつ見えてくると、
「合う家」は、
誰かが教えてくれるものではなく、
ご家族の中から自然と形になっていくように思います。
家づくりでは、
理想の家を探すことよりも、
自分たちが、どんな暮らしを大切にしたいのかを見つけること。
私は、その時間をご一緒できたらと思っています。























