建築家・北原啓子さんのブログ「輸入住宅の階段」

輸入住宅の階段

2024/02/01 更新

HPのBlog NO5を書きました。今回は階段についてです。近日公開しますが、その前に、文章と写真の一部をここに公開します。
今回は、輸入住宅の階段のお話を中心にしたいと思います(写真はすべて北原施工例)
カナダから2012年にご帰国後に「カナダに住んでいた時と同じような空間が欲しい」とのご要望で手掛けた「白の家」は、真っ直ぐに2階まであがる鉄骨の開放的な階段です。
*玄関クローゼットとリビング横のファミリースペースと階段です。お子さんが小さいときはピアノを置いて、子供たちの遊びの空間に。お子さんたちが巣立った後は、小さなコーヒーテーブルと椅子を置いてお友だちとお茶を楽しむ空間に。この空間を見るとそんな素敵な時間が見えてきませんか?
床や階段の段板は無垢材です。壁・天井は珪藻土で仕上げましたが玄関ドアを開けると海外の住宅のようにリビングと奥の開放的なキッチンがダイレクトに広がります。
次にご紹介するのは、アイルランドにいたときにイギリスの家とは違って感じていた素朴さをテーマに完成させた「アイリッシュコテージの家」ですが、玄関を開けると2階に上がる開放的な玄関ホールと階段とリビングに置かれた薪ストーブが見えます。 キャンプがお好きというオーナーの生活や空間をとらえて作り上げました。
階段は、Over-the-post(オーバー・ザ・ポスト)
手摺はカタツムリのように渦を巻いたヴォリュート設けて、空間の広さにイギリスやアイルランドっぽさを感じてほしいと設けました。そして片側R加工のスターティングステップも可愛らしさと伝統を感じると思います。
塗装ではなく体に害のないオスモ(植物系のワックス)を塗り拭取っています。木目の美しさを表現しています。私の施工例の中で一番多い仕上げ方法です。アレルギーをお持ちの方がやはり増えていますので、天然素材は体に優しく、安心できます。
玄関吹抜け上部・2階の手摺も同じくオーバー・ザ・ポスト。
狭く感じる日本住宅の廊下幅が広く感じられると思います。
親柱と小柱のバラスターも上部のハンドレールと段板にしっかり差し込まれ固定され、映画にでてきそうな空間を演出してくれます。デザインも無垢材の種類も豊富です(ヘム:栂・オーク:樫の木)
2階ホールの手摺も明るさを1階に届けてくれます。
無垢材の階段や手摺の良さは、好きな色に仕上げることができ、10年、20年、30年と変化しています。特にオスモのようにワックスで仕上げると床などは、あめ色に変化し、傷も味になり家族の歴史を感じさせてくれます。
アイルランド、イギリスの家のように400年前の物でも表面の塗装を剥がし、好きな色に塗り変えられるということです。私もリバプールの家の階段横板と手摺、バラスターなどを白と淡い水仙色に塗り変えました。近所のお友達をディナーにご招待して、お披露目しましたが、明るくなった玄関ホールで靴を脱ぎながら友達たちは、「すてき~」と言ってくれました。
さて、次の写真は、「サンフランシスコの家」というタイトルで完成させました。
白の手摺は清潔感と明るさを感じていただけると思います。階段の段板は濃茶で仕上げコントラストを付けました。
色の自由さは、ご自身の求める雰囲気に合わせることができます。それは無垢材の良いところです。塗装は海外住宅にある塗りつぶしです。
次に、イタリアに留学中にお住まいになっていた家のデザインが好きなので、「外観のデザインを再現した家造りがしたい」とのご要望で建てたイタリアの家。内装もアンティークな家具で揃えられています。
3帖の吹抜けでも手摺を輸入のオーバー・ザ・ポストにすると広がりを感じることができます。
天井のシーリングファンが家中の空気を回してくれるので、1階2階の温度差が少なく、光熱費を抑えるのに役立っています。吹き抜けのある家には絶対にお勧めしています。
次に、イギリスのコッツウォルズへ旅行に行かれて家を建てるならイギリスのデザインで建てたいとのご要望で手掛けた若いご夫妻のための「ウィンダミアの家」
建蔽率・容積率いっぱいに建てました。LDKが18畳うちダイニングは5畳、キッチンは4帖弱。リビングは9畳ですが、輸入階段のヴォリュートとバラスターの美しさが伝統的なイギリスの雰囲気を感じさせてくれます。
次は「スペインの家CASA」の吹抜けに設けたオーバー・ザ・ポストのバラスターとハンドレールですが、レールは黒・バラスターが白と大人な家造りになりました。
構造材は、すべて檜で、階段材と手摺はオークです。黒く塗るのがもったいないくらいでしたが、こちらも珪藻土とオスモで仕上げました。
*天井は輸入材・節がない板目が美しいレッドシダー。経年変化でシダー(杉材)は赤身を増し味わい深くなります。家も年齢を重ね、家族の歴史を刻んでゆきますね。
次は、イギリスのファームコテージのデザインで手掛けた和室とノルウェーの薪ストーブのある家です。
吹抜けのハンドレールは濃茶色。バラスターは茶がかった赤です。
和室の畳の縁も赤にしましたので、落ち着いた統一感があり、それでいてお子さんたちが小さいときは元気さを感じると思います。梁は解体前にあった100年以上も前の家の梁を再生させました。
この家はイギリスの田舎道を、車を走らせたときに、牧場の丘の上に建っているファーマーズハウスの素朴さを感じた家のイメージで作り上げました。
ドアも無垢材、窓は輸入サッシですが、内側木製、外部はアルミグラッドのアルゴンガス入りサッシですが、内側の木製部分をやはり好きな色に仕上げることができます。
次はパリの家のサーキュラー階段です。段板はオーク、ハンドレールもオーク、バラスターはアイアンです。アイアンのバラスターのデザインも豊富です。
一階リビングから2階の吹抜けホールにエレガントさを漂わせ、そして堅剛さを感じていただけると思います。
*上記写真、Fittsカタログより
現場に最低週一回、足を運び職人さんたちと打ち合わせをしますが、その時に、図面には表せない空間を作りあげています。それは、お客様との打ち合わせを重ねることで見えてくることがあり、例えば、次の写真(イングリッシュコテージの家)のように階段横の壁に小物を飾っていただけるスリットを入れることもさせていただきました。
可愛い小物をちょっと置いていただくだけで、可愛らしさと暖かさのある階段に変わってきますね。
2階ホールの手摺や上がっていく手摺・オーバー・ザ・ポストの流線型のハンドレールの優しさと美しさは特別だと思っています。
今回は階段のお話を少ししましたが、階段一つでも、空気を回し、外部の光を取り入
れ、無垢材の木目の美しさと優しさと温かさを感じていただけると思います。
イタリアの家、イギリスの家、アイルランドの家、そしてスペインの家のように100年、200年と時を重ね、家族の歴史を刻み、パリの家のようにエレガントな空間を生み出し、そういう空間で人が生き、大切な自分らしい人生を紡いでいっていただけたらと思います。
*壁・天井:珪藻土(白の家・アイルランドの家・サンフランシスコの家・イタリアの家・ウィンダミアの家・スペインの家・イングリッシュファームコテージの家・パリの家・イングリッシュコテージの家)
*床:パイン無垢材・チーク材無垢材・花梨無垢材・オーク材無垢材等

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