建築家・ナイトウタカシさんのブログ「間取りを見ても、いいのか悪いのか...」
間取りを見ても、いいのか悪いのか...
2026/08/29 更新
「間取りを見ても、いいのか悪いのか分かりません。」
このお話も、ご相談の中でよく伺います。
住宅会社からいくつかプランを提案してもらった。
説明を聞けば、どれもよく考えられているように感じる。
でも家に帰って図面を眺めていると、
「これでいいのかな……。」
そんな気持ちになってしまう。
でも私は、このお話を伺っても、
「この間取りはいいですね。」
「ここは直した方がいいですね。」
と、すぐに図面の評価をすることはあまりありません。
まずは、
「この間取りで暮らしているところを、想像されたことはありますか?」
そんなふうに、お聞きすることがあります。
間取りを見ると、
どうしても部屋の大きさや配置が気になります。
LDKは何帖あるのか。
収納は十分なのか。
家事動線は短いのか。
もちろん、どれも大切なことです。
でも、それだけを見ていると、
その間取りが自分たちに合っているのかは、なかなか見えてこないことがあります。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
二つの間取りを前にして迷われていました。
「どちらがいいと思いますか?」
と聞かれたので、
私は、
「休日の朝、この家ではどこで過ごしていそうですか?」
と、お聞きしてみました。
すると、お二人で図面を見ながら、
少しずつ話が始まりました。
「私はここでコーヒーを飲んでいるかな。」
「僕は子どもと庭に出ているかもしれない。」
「だったら、この窓から庭が見えた方がいいね。」
そんな会話になっていきました。
最初は二つとも同じように見えていた間取りが、
暮らしを想像し始めると、
少し違って見えてきたようでした。
間取りは、
部屋を並べた図ではありません。
朝起きて、
顔を洗って、
朝食を食べる。
仕事から帰って、
荷物を置いて、
夕食をつくる。
家族で話したり、
一人で静かに過ごしたりする。
そんな毎日の時間が、
図面の中には入っています。
だから私は、
間取りを見るとき、
線だけを見るのではなく、
その中で人がどう動き、どこで立ち止まるのか。
そんなことを想像するようにしています。
ですから、
「間取りを見ても、いいのか悪いのか分かりません。」
と聞かれても、
分からなくて当然なのかもしれません。
図面だけを見て、
良し悪しを判断するのは難しいものです。
それよりも、
朝はどこにいるだろう。
帰ってきたら、最初にどこへ行くだろう。
休日は家族でどこに集まるだろう。
そんなふうに、
図面の中に自分たちの一日を置いてみる。
すると、
「ここは好きかもしれない。」
「ここは少し違う気がする。」
そんな感覚が出てくることがあります。
家づくりでは、
間取りの良し悪しを知ることよりも、
その間取りで、自分たちがどんな毎日を過ごすのか。
私は、そんな暮らしのお話を伺いながら、一緒に図面を見ていけたらと思っています。























