建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「図面の読み方 ④実施設計図編」

図面の読み方 ④実施設計図編

2021/10/11 更新

コラム:はじめての家づくり 37|
図面の読み方 ④ 実施設計図編

こんにちは。
コンパクトな都市型住宅を考えるのが大好きな相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
丁寧に打合せとし、みなさんの夢を叶えます。
台東区の建築家としても家づくり設計活動中です。
リフォーム・リノベーションの設計依頼をお待ちしています。

このブログでは、これから家づくりをなさる方たちに向けて、注文住宅の情報を提供するとともに、設計事務所に頼もうかどうかの検討材料を提供しています。
ご一読いただき参考にしていただけましたら幸いです。

           ○

ここ3回で家づくりのための「図面」の全体像と種類についてお話をしてきました。
今回は4回目として実施設計図を掘り下げていきます。

家づくりのプロセスの入口で、私たちのような設計事務所はまず無料提案をさせていただきます。
ご要望をお伺いしてから2〜3週間。
皆さんには簡単な図面と模型、仕様の概略を持って計画をご案内します。
間取りやコンセプトを共有していただくことからスタートです。
みなさんにはこれらをもってまずはお話をさらに進めるかどうかを検討いただきます。
この時点でも、不明点や可能性など質疑応答に対応いたします。
コミュニケーションがとれ、計画を進めたくなったら、設計契約をしていただき、具体的な家づくりがスタートします。

スタートすると、大枠を決める基本設計の段階が始まります。
細部を決定する前に間取りを確定し、おおよその予算を前提に調整をしていきます。
これが終わると細部の検討をしていく実施設計に移ります。
間取りから細々としたサイズ、仕上げなど順次検討・決定して行きます。
実施設計の段階がまとまってくると、施工業者から見積をとり、予算や希望に合わせた調整に入ります。
その調整が終わると、工事金額と支払いタイミグが確定され、いよいよ現場のスタートです。

写真1:見積書の写真


実施設計通りにできる

見積りをするために、意匠・構造・設備の各ジャンルで、設計がされ図面をそれぞれ用意します。
木造の個人住宅など比較的小規模な建築の場合、それらの設計業務を私たちのような意匠設計事務所がすべてをこなすことがよくあります。
その場合にはすべての図面を意匠設計事務所が検討し、作図します。
もっとも住宅プロジェクトだけではなく、建築設計は意匠設計が入口でプロジェクトがスタートし、「意匠=デザイン」を実現するため、またはより良い意匠設計になるために構造チーム・設備チームが設計協力することが一般的です。
なので私たちのような小さい組織には意匠担当しかいませんが、大きくなってくると構造・設備のセクションだけでなく、積算のセクションや施工のセクション、研究開発のセクションがあったりします。

意匠の図面には大まかに以下のような種類があります。

① 平面図
建物を階の途中から壁を水平に切って下を見ている図面です。
ですから階間を跨いである階段のようなものは途中で切れて表記されています。なので、3階建ての2階平面の場合は上階に行くものと下階に行くものの両方の階段が描かれています。
「水平的=平面的」に部屋の関係がわかり、ドアや窓などの建具の種類と位置、平面的なサイズがわかります。
他にも壁の種類や平面的な位置、外部との関係がわかります。
意匠の中で中心となる図面です。
各階平面の他に、最上階となる屋根を平面的に見た屋根伏図(屋根平面図)もあります。
屋根の大きさや傾き、雨水のルートの検討などに必要となって来ます。
しかしこれでは高さ関係の情報が足りず、立体的な理解には限界があります。
そこで高さ関係のわかる図面「断面図」が必要となって来ます。

② 断面図
平面図が水平に切断して見下ろした図面であるのに対して、断面図は垂直に切り、指示した方向を見た図面となります。
ホールケーキを切り分けた時、切ったものの断面を見ている感じです。
通常は平面図に、「ここからここまでを切って、こっち方向を見たところ」という切断線が入っています。
これに「A、B、C」や「イ、ロ、ハ」など振られおり、「A-A’断面」や「イ断面」などと呼ばれます。
地面高さ設計基準の高さが表記され、最高の高さや各階の高さ、天井の高さ、床の高さ、基礎の高さなどがわかります。
単純な建物でも、少なくとも2方向は切ります。
だいたい切断線がクロスするように、長辺と短辺、X方向とY方向って感じになります。
この図面を持って初めて、屋内の感じが明確にわかってきますが、外がどう見えているのかは「立面図」がないとわかりません。

③ 立面図
建物を理解するのに平面図、断面図と共にセットとなるのが立面図です。
建物をその外部から正対して立体的に見た図面です。
屋根・外壁・窓・ドアなどの形状や位置が描かれています。
これにも描かれる順番があって、敷地内での建物の配置によって若干違いますが、大概、順に北・南・東・西の4方向から見た立面図が描かれます。
立面図は建物を少し離れたところから正対に見ているのに対して、断面図は建物の中に入って、切断面を正対している図面です。

④ 仕上表・仕様表
これは、建物に使用する材料=仕上げ材を表にした図面です。図ではなくて表組となっていて、建物の建材だけではなく、様々な仕上げや収まりを指示する他、標準的な床・壁・天井の作り方や雨仕舞いなどが記されます。

⑤ 案内図・配置図
敷地の形状、敷地と建物の位置関係、敷地内外の高低差、方位や道路や隣地との関係などがわかる図面です。

           ○

①から⑤の図面が揃うと、どこにある、どんな仕様の、どのような建物かという概要がわかることになります。

これらをベースにして、さらに施工するためや意匠性を確保するために詳細な図面が必要となってきます。
今日はここまで。


(この項つづく)


2021/10/11 佐藤 勤 記

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