建築家・ナイトウタカシさんのブログ一覧
2025/11/01 更新
二世帯住宅の計画を始めると、最初にぶつかるのがこの問題。 「家づくりの主導権は、親世帯と子世帯のどちらが握るといいのか?」 家を建てるという行為は、単なる“モノづくり”ではなく、家族の関係性そのものを再構築する作業でもあります。 だからこそ、誰がリーダーシップを取るかは、設計そのものに深く関わってくるのです。 1. 親世帯主導のメリットと注意点 親が土地を所有し、資金も出すケースでは、自然と親世帯が主導する流れになりま...
2025/10/31 更新
「風通しのいい家にしたいんです」 そう話す方はとても多いのですが、実際に“風”や“空気”を設計できている家は、意外と少ないものです。 単に窓を開けて風を通すだけでは、快適な空気の流れは生まれません。 空気は目に見えないけれど、確かに“空間の質”を左右する重要な存在です。 だから私は、空気そのものを「設計の主役」として考えています。 空気の流れとは何か 家の中の空気は、常に「温度差」「気圧差」「風向き」によって動い...
2025/10/30 更新
「防音室をつくるなら、やっぱり地下がいいのかな?」 そう思う方は少なくありません。 一方で、子どもの部屋を2階にするから、練習室も同じフロアにしたいという声もよく聞きます。 実際のところ、防音室は地下と2階、どちらが正解なのでしょうか? 1. 地下室のメリットと注意点 地下は、周囲を土に囲まれているため、遮音性能が非常に高いというメリットがあります。 地上に比べて外への音漏れが少なく、住宅街でも安心して練習できるのが大き...
2025/10/29 更新
「バリアフリー住宅」と聞くと、多くの人が“機能的だけれど味気ない家”を思い浮かべます。 白い手すり、無機質な床材、病院のような空間――。 車椅子に対応する家は、美しさを犠牲にするものだと感じている方も少なくありません。 しかし、それは過去の常識です。 本来、車椅子対応の家と美しいデザインは両立できます。 むしろ、心地よく暮らすための機能を追求した結果として、美しい家が生まれることすらあります。 1. 「安全」と...
2025/10/28 更新
「サウナをどこに設置すればいいですか?」 自宅サウナを検討される方から、よくいただく質問です。 多くの人が「お風呂の隣」「庭」「ベランダ」など、スペースの有無から考え始めます。 けれども実は、サウナは“方角”と“環境”の相性がとても大切。 なかでも、少し意外に聞こえるかもしれませんが、 私はよく「北側の設置もおすすめです」とお伝えしています。 なぜサウナに北側が向いているのか。 その理由を、いくつかの視点からご紹介します。 ...
2025/10/27 更新
アートを暮らしに取り入れるとき、「抽象画ってよくわからない」と感じる方は少なくありません。 確かに、風景画や人物画のように「何が描かれているか」がすぐには分からない。 でも実は、その“分からなさ”こそが、抽象画のいちばんの魅力なのです。 1. 正解を探さないことから始める 抽象画を前にすると、つい「これは何の形?」「何を表しているんだろう?」と考えてしまいます。 でも、それは少し違う入り口かもしれません。 抽象画は、意味を読み取...
2025/10/26 更新
■ 家に人が集まる理由は“間取り”だけではない 子どもが巣立ったあとの暮らしで、意外と差が出るのが「人の訪れやすさ」です。 同じような年代でも、週末になると友人や家族が集まる家がある一方、なぜか足が遠のいてしまう家もあります。 その違いは、実は家の“雰囲気”や“使い方”にあります。 リビングの明るさ、座る位置、玄関の印象、そして迎える人の余裕。 小さな違いが積み重なって、「行きたくなる家」と「遠慮してしまう家」を分けているのです...
2025/10/25 更新
二世帯住宅を建てるとき、誰もが「これで一生安心」と思って設計を進めます。 しかし、10年、20年経つと、家族構成も生活スタイルも大きく変わるものです。 子どもが独立したり、親が介護を必要としたり、世帯のどちらかが転勤や引っ越しをする可能性もあります。 そんな将来の変化に柔軟に対応できる家にするには、リフォームを前提にした間取り計画を立てておくことが大切です。 1. 「今の暮らし」だけで決めない 間取りを考えるとき、多...
2025/10/24 更新
「寝ても疲れがとれない」「夜中に何度も目が覚める」 そんな時。、多くの方はベッドや枕を買い替えようとしますが、実は“空気”が原因になっているケースが少なくありません。 眠りと空気の関係 私たちは眠っているあいだに、1晩でおよそ1万回以上呼吸しています。 つまり、睡眠とは「空気を吸いながら体を回復させる時間」といっても過言ではありません。 ところが、寝室の窓を閉め切ったまま眠ると、 数時間で二酸化炭素濃度が上昇し、酸素が薄く...
2025/10/23 更新
家を建てるとき、多くの方がまず考えるのは「立地」や「日当たり」、そして「学校区」や「駅までの距離」でしょう。 けれど、もしお子さまがピアノやヴァイオリンを習っていて、日常的に楽器を練習する環境をつくりたいと思っているなら── 土地選びの段階から“音”のことを考えることが、とても大切です。 1. 音には「出す音」と「入る音」がある 防音というと「音漏れを防ぐ」ことに意識が向きがちですが、実は「外から入ってくる音」も暮らしに影響しま...
2025/10/22 更新
新築よりもコストを抑えられる、立地の良い場所で理想の家を実現できる――。 そんな理由から「中古住宅を購入してリフォームする」という選択が増えています。 しかし、実際にリフォームを終えた人の中には「思ったより費用がかかった」「住み心地がいまいち」「後から後悔した」という声も少なくありません。 その多くは、最初の思い込みが原因です。 1. 「中古の方が安く済む」は半分正解、半分間違い 確かに、中古住宅は新築よりも購入価格を抑えられま...
2025/10/21 更新
自宅にサウナをつくると決めたとき、 多くの人が「どんな機種を選ぶか」や「どれくらいのサイズにするか」に意識を向けます。 けれども、実はそれ以上に重要なのが、**“動線設計”**です。 どれだけ上質なサウナを導入しても、動線が悪ければ使うたびにストレスが生まれ、 次第に利用頻度が下がってしまう。 反対に、動線が整っていれば、日常の延長線上で自然とサウナを楽しめるようになります。 「失敗しないサウナ設置」の鍵は...
2025/10/20 更新
家にアートを取り入れるとき、「絵画よりも写真のほうが自分に合いそう」と感じる方は多いでしょう。 特に風景写真は、誰にとっても親しみやすく、空間をやわらかく彩ってくれます。 しかし一方で、「自分で撮った写真では軽く見えるのでは?」とか、「飾ると部屋がごちゃごちゃしそう」と悩む方も少なくありません。 実は、少しの工夫で、風景写真は暮らしの中で驚くほど美しく映えます。 1. “記録”ではなく“風景としての記憶”を選ぶ 風...
2025/10/19 更新
■ 静かになった家に、あの笑い声をもう一度 子どもが独立して、家の中が急に静かになった。 リビングのテーブルも広く感じるし、食卓の会話も夫婦ふたりだけ。 そんな中で、ふとした瞬間に「そろそろ帰ってこないかな」と思うことはありませんか? 帰省してくれることは、親にとって何よりの喜びです。 でも、実はその“帰りたい気持ち”は、家の雰囲気や居心地にも左右されるのです。 ■ 子どもが“帰ってきたくなる家”の共通点 居心地がいいこと 昔...
2025/10/18 更新
二世帯住宅を計画する際、多くの方が「ずっと一緒に暮らす」ことを前提に考えます。 しかし現実には、家族のライフステージや事情によって、同居の形が変わることも少なくありません。 「子どもの独立」「転勤」「介護」「親の施設入居」—— どんなに仲の良い家族でも、将来何が起こるかはわかりません。 そんなときに後悔しないために、“同居解消も想定した柔軟な間取り” を考えておくことが大切です。 1. 「ずっと一緒」が前提のリスク 二世帯住宅...
2025/10/17 更新
「PM2.5」。 近年では春先や冬の季節になると、大気汚染情報に“注意喚起”が出ることもありますよね。 でも実は、PM2.5の問題は外だけでなく「家の中」にも潜んでいるのです。 PM2.5とは? PM2.5とは、直径2.5マイクロメートル以下の微小な粒子状物質のこと。 花粉の約30分の1ほどの大きさで、目に見えないほど微細です。 この粒子は肺の奥まで入り込みやすく、長期的に吸い込むと、ぜんそくやアレルギー、呼吸器疾患の悪化など...
2025/10/16 更新
ピアノの音がリビングに心地よく響く家。 ヴァイオリンの音が夜でも家族の会話を邪魔しない家。 それは、ただ「防音性の高い部屋」をつくるだけでは実現できません。 大切なのは、“音のバランス”を考えることです。 1. 「静かさ」だけでは、良い音にならない 防音室というと、「音を外に出さない」「静かにする」と考えがちですが、それだけでは十分ではありません。 音は“閉じ込めれば良い”ものではなく、“どう響かせるか”で快適さが変わります。 ...
2025/10/15 更新
建てる、あるいはリフォームをする。 そのとき多くの人が「本人が使いやすいかどうか」を最優先に考えます。 もちろんそれは大切な視点です。けれども、もう一つ忘れてはならないのが「介助者の動線」です。 介助する家族や支援者の動きが考慮されていない家は、結果的に家族全体の負担を大きくしてしまいます。 いくらバリアフリー設備を整えても、「介助がしづらい家」では暮らしの質は向上しません。 1. 狭い廊下や扉で介助が困難になる...
2025/10/14 更新
「新築でなくても、自宅にサウナを作れるんですか?」 そう尋ねられることがよくあります。 答えは――はい、可能です。 実は、浴室リフォームのタイミングこそ、サウナを組み込む絶好のチャンスなのです。 1. 浴室サウナリフォームの基本構成 一般的な浴室リフォームでは、ユニットバスを入れ替えたり、内装や配管を刷新したりします。 この際に、空間設計を少し工夫すれば、家庭用サウナルームを一体化できます。 たとえば、 浴室の一部を...
2025/10/13 更新
子ども部屋というと、勉強机やおもちゃ、収納など、どうしても「機能」や「整理」に意識が向きがちです。 けれども、本当に大切なのは、子どもの感性を育む“空気”をどうつくるか。 アートは、そのための最良のツールです。 一枚の絵があるだけで、部屋がやわらかくなり、子どもの世界が少し広がります。 1. 「かわいい」より「想像できる」ものを 子ども部屋にアートを選ぶとき、多くの方が「キャラクターもの」や「かわいらしい絵」を思い浮かべます。...
























