慎重さの積み重ねの上にある「安心の木造住宅」
福田義房(アーキクラフト)
いくら構造として見栄えよく、使いやすい家をつくったとしても、アレルギーや化学物質過敏症などの症状が出たとしたら……。そんな現代人の不安に対して、福田氏が提案するのが「昔ながらの地域材を使った木造住宅」だ。その背景には、日本人がずっと大切にしてきた自然環境への思いがある。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

――土地土地の木材を使った家づくりに力を入れてると聞きました。
山と直接契約し、製材所から直接仕入れて家をつくる「地域材の木造住宅」をずっと手がけてきました。「木造の家」というとログハウスや純和風の家を連想されるかもしれませんが、そうではありません。高度経済成長以前は、普通に大工さんに作ってもらっていた木と漆喰でできた家を、現代の建築技術を使い、丁寧に、時間をかけて作ろうということです。
――地域材を使う利点はどんなことですか。
メリットはいくつもあります。まず輸入材と違って輸送コストがかからないので、低コストでいい材料が手に入ること。それに輸送や加工にかかるエネルギーも少ないので環境負荷も抑えられます。また、健康被害の原因になる防腐剤などの薬品が使用されることもほぼないので安心できます。その上、地域の林業や製材所などの活性化にもつながり、長い目で見て、日本の自然と暮らしを守ることにもなります。要するに、木材の生育という「川上」から、家を建てて住むという「川下」までをぐっと近づけ、身近なものにすることができるわけです。
――施主さんの意識も変わりますか。
施主さんと一緒に山に入って、材料にする木を切ることがあります。すると、みなさん家に愛着を持たれるようになりますね。特に子供さんは「家を大事に使っていこう」という意識が芽生えるようです。樹齢40年~50年になるような大きな木を切り倒して自分の家にするわけですから。山の木を切って、植えて、家を建てて、古くなった家を住み継いでいく。そうした自然の循環の中に人間の暮らしがある、ということに気がついてもらえるのも嬉しいですね。
――自然に近い建材を使うことが、健康的な生活につながるんですね。
シックハウス症候群やアレルギーなど、現代特有の健康被害をなくすためにも自然の材料を使うことが大事です。たとえば、私は、石油製品や樹脂などを混ぜてある可能性のある建材や土を使う場合、お客さんに「しばらくの間、この土を自分や子供さんの枕元に置いてみてください」とお願いすることがあります。人間はひとりひとり違うので、健康への影響は時間をかけてじっくり判断していく必要があるんです。そういう慎重さの積み重ねの上に、子供たちが健やかに育ち、子供世代に安心して残せる家があるのだと思います。
福田義房(アーキクラフト)
1960年 埼玉県生まれ。
1982年 東京工芸大学工学部建築学科卒業後、ハウスメーカー勤務。
設計事務所勤務を経て、2000年アーキクラフト設立。








