時代に新風を吹き込む建築家たち

2011.5.13

住み手の心を自由にする「開放的な家」

芳賀敏夫(アトリエラビリンス)

考え方や性格は愛読書の影響を受けることから「本棚を見ればその人の頭の中がわかる」と言われる。家にも同じことが言えるかもしれない。家を見れば住む人の行動や考え方がわかる、と。建築家の芳賀氏は、そうした「空間自体が住む人の心と密接に結びついている」という影響力を重視している。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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――空間を大きく使うことをテーマにされているということですが。

ひとことで言うと「開放的な家」ということです。家とは、そもそも外と内とを隔てるもので、そういう点では矛盾して聞こえるかもしれません。要は、精神的に風通しのいい家、住み手がスカッとした気分になれる家というのを理想にしています。

――それは心身の健康にも良さそうですね。

私自身、渓流釣りが好きなものですから、自然の広い空間に居ることで、気持ちが安らぐことはよく理解できます。ですので、家の中でもアウトドア活動をしているときのように、のびのびした気分になれる家が良いと考えています。イメージとしては、中にいる人の意識が内向きではなく、外に向かって開いている感じです。室内にありながら、外と繋がっている感覚と言えば良いでしょうか。

――具体的にはどうした空間作りをしているのですか。

あまりスペースを細かく区切らずに、一部屋一部屋を広く、フロアを大きく使うことが第一ですね。そうすることで、中にいる人が遠くまで視線を向けられる。さらには、窓も大きくして、視線ができるだけ外へ抜けていけるようにする。このような手法をいくつも組み合わせて、家の中でも縮こまらずに自然の中にいるときのように開放的な気分になる空間を作っています。近くばかり見ていると、どうしても気詰まりになってきますからね。

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――広い空間、というのは使い勝手の点ではいかがでしょうか。

ただ広いだけの空間では不便なので、引き戸やふすまを使って仕切れるようにしておきます。そうすることで、普段は空間を区切って、子供部屋や趣味の部屋にしておくこともできます。そして、お客さんが来たら、ふすまを空け放って大きな部屋にする。あるいは、子供が家を出たら仕切りをなくす。このような空間作りをすることで、フレキシブルに世代交代して住み継いでいくことができる家にもなるのです。

――自由度の高い家になるということですね。

私の自宅も、開放感を意識して「大きな納屋」というテーマで作りました。そんな空間の影響もあってか、娘も自分の部屋の扉を閉めようともせず、のびのび育っています。家は個人や家族の生活とパーソナリティーを包み込むものではあっても、決して閉じ込めてしまってはいけないのです。

芳賀敏夫(アトリエラビリンス)

photo 1954年 福島県生まれ、 1979年 東京芸術大学美術学部建築科卒業、 1979年 大林組(設計部)入社、 1984年 大林組(設計部)退社、 1984年 千葉大学園芸学部環境植栽学科研究生、 1985年 一級建築士事務所 アトリエラビリンス設立、 1991年 (有)アトリエラビリンス建築環境設計に組織変更

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