時代に新風を吹き込む建築家たち

2014.10.3

「明日もここで暮らしたい」という気持ちに寄り添う家づくり

市川大輔(アーキテクチュアルデザインマーケット一級建築士事務所)

これから家を建てる人の心構えとして「自分がどういう生活が楽しいかを常に意識するといいですよ」とアドバイスする市川氏。施主と建築家の共有時間を重視することで、育んだコミュニケーションが完成した建築に反映されるという。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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――建築家を志したきっかけを教えてください。

進路に悩んでいた高校三年生の時、友人の家でメキシコの建築家ルイス・バラガンの作品集を見せてもらいました。それまでそんなに関心のある分野ではなかったのですが、建物ではなくて〝建築〟という概念があると初めて知り、一生の仕事にする価値があると思いました。

――家づくりで重視していることは何ですか?

大切にしているのは『三つのC』です。
一つ目は、『コミュニケーション(communication)』。建築家と施主様、施工してくださる工務店の方、大工や職人さんとのコミュニケーションを大事にしています。ざっくばらんに話をするだけでなく、意思疎通の確認のためにも議事録をとり記録をしっかり残すように心がけています。さらに人と人だけではなく、部屋と部屋とか、室内と屋外、人工物と自然、それらと建築を使ってどのようにコミュニケーションしていくのかも非常に重要だと考えています。

――部屋と部屋のコミュニケーションとはどういうものですか?

例えば、壁ではなく引き戸で区切った部屋だと開閉が自由にできるという柔軟性があります。戸を開いて部屋と部屋をどうやってつなぐか、あるいは閉じることでどうやって離すかということがコミュニケーションだと言えるのではないでしょうか。

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――なるほど。その他のCは何ですか?

二つ目は『コンテクスト(context)』です。文脈や背景という意味ですが、建物が建つ敷地の歴史や周辺環境などを組み入れて、調和だけでなくまちの活性化の一つの手段となってくれるような建築を心掛けています。お施主様のこれまで過ごされてきた暮らし方も文脈の大きな要素の一つです。
三つ目は構成や組立を意味する『コンポジション(composition)』です。敷地内のどこに建物を建てようか、どこに木を植えようかという構成をコンテクストに踏まえたうえで反映させたいと思っています。どのようにカタチを決定付けるかということです。
また、『コスト(cost)』や『コンフォート(comfort)』も前述の3つのCに加えたい大切なCです。

――建築の魅力とは何でしょうか?

今日一日を安心して暮らせたら、明日もまた同じようにこの暮らしを続けたい。そう思った瞬間に建築は生まれ、必要になると思うんですね。そういう気持ちに寄り添える建築をつくりたいし、それに応えられるということが一番の魅力です。自分が設計した建物は自分の分身と考えていますので、「施主様に僕の分身が迷惑かけていないかな」と、いつも気になっています(笑)。使う人の顔がダイレクトに見える住宅の設計というのは、自分の仕事の中でも特に印象に残りますね。

市川大輔(アーキテクチュアルデザインマーケット一級建築士事務所)

photo 1980年8月生まれ。愛知県半田市出身。一級建築士・管理建築士。
宇都宮大学大学院修了。 大学院在学中に第11回 空間デザイン・コンペティションで金賞を受賞。卒業後、神谷五男+都市環境建築設計所に勤務し、その後KAN設計に勤務。 2013年3月、arctectural design market 一級建築士事務所設立。

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