時代に新風を吹き込む建築家たち

2014.5.30

「20年後の感動」を今つくる

川嶋玄(川嶋玄建築事務所)

デザイン優先か機能優先か――。住宅を建てるときのよくある「問い」だ。しかし、ふたつはそもそも対立するものだろうか。川嶋氏は「デザインは機能を犠牲にするものではないし、機能もデザインを犠牲にしない」と言い切る。「依頼者の期待をはるかに上回る150%の出来映え。これができないとプロとは言えません。・・・でも、それがムズカシイんだぁ」。この道30年のベテラン。家づくりの楽しさも悩ましさも知り尽くした上での言葉だ。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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──ご実家は材木店なんですね。

そのせいもあって、自然と建築の道に進みました。材木屋の父は日曜大工が趣味で、大工道具が家にあったんです。仕事を手伝ったりしているうちに、建築の楽しさに目覚めました。工学部の建築学科を出てからはゼネコンの設計部に勤めて、オフィスビルからショッピングセンター、銭湯、美術館まで、あらゆる建物を手がけました。

──経歴に、青年海外協力隊とあるのは?

もともと途上国の旅行が好きだったもので、10年以上務めた後、一念発起してグアテマラ行きを志願しました。ボランティアをしたかったというより、想像もできないことに出会いたかったというのが理由です。2年暮らして、わかったのは、言葉ができても現地の人の気持ちを理解するのは難しいということです。コミュニケーションとひとくちに言っても、奥が深いものだな、と。

──それは家づくりにも通じると。

ええ。ですから、施主との打ち合わせは大切です。単純に、要望を聞いて設計に盛り込んで・・・とできればいいんですが、ほとんどの人は上手く言葉にできません。何が好きか、自分でもよくわかっていないのが普通なんです。だから、そこをじっくりと探っていく。それが家づくりためのコミュニケーションとして大事なことですね。
言葉で理解してもらえるように努力していますが、最終的には、出来あがったものを見て、感動してもらえるか、満足してもらえるか。そこが勝負です。

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──期待を上回れるか、ということですね。

家が出来上がったとき、100%満足してもらうのは、プロとして当然のことです。問題は、10年後、20年後、どうなるかですね。多少、機能的に不便なところが出てきたとしても、味わいがあって、愛着を感じられる家であるかどうか。 建築家の手を離れ、建て主の子供の代になったとき、「父が建てたこの家を大事にしたい」と思われるような家。これが私の目指しているところです。

川嶋玄(川嶋玄建築事務所)

photo 1958年 静岡県清水市生まれ
1981年 東京大学工学部建築学科卒
1983年 同大学院修了
1983~1994年 戸田建設設計部に在籍
1995~1997年 青年海外協力隊でグアテマラ共和国派遣へ。一念奮起して異文化交流体験をする
1998年 川嶋玄建築事務所設立、住宅設計を主体に活躍中

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