本質に迫るまでとことん考える
桐山和広(桐山和広建築設計事務所)
長く住める家とはとはどんな家か。構造の強さ、柔軟な間取り、飽きの来ないデザイン……、さまざまな条件が浮かんでくるものの、なかなか焦点が定まらない。建築の専門家でない施主は、どんなふうに考えればいいのだろうか。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部
建築家の写真
──まさに今、ご自宅をリノベーション中なんですね。
このほど親と同居することにしたので、リビングを広くしたりといったわが家のリノベーションをすすめているところです。ライフスタイルだけでなく、家族構成が変わるのに合わせて、住宅も変えていく。これからはそういう建築ニーズが増えてくると思います。家に「住まされる」のではなく、自身のライフスタイルの変化に合わせて、リノベーションで住居を臨機応変に変えていくというわけです。
──やはり、長く住めるかよう、はじめから考えておくことが大事なのでしょうか。
新築するときにも、どんな住み方にも対応できるような空間づくりをしておくことが必要だと思います。これまでは、新築時に将来的なリノベーションのことまではあまり考えてこられなかったのですが、現在では、築30年程度のマンションなど、リノベーション対象としての物件が注目を集めています。「長く使っていけるか」ということが、今後はより真剣に考えられるようになってくるでしょう。
──施主さんとのコミュニケーションにおいて何を重視していますか。
もちろん要望を最優先にして考えます。ただ、要望を表面的に理解してはいけないと気をつけています。たとえば、「丸いものがいい」といわれたとき、ハイと「丸いもの」をわたして終わりにしてはならない、ということです。「楕円ではダメか」「円錐だったらどうか」という提案をを通して、「なぜ丸いものがいいのか」の本質が見えるまで、コミュニケーションを進めていかないと、満足のいく住宅はできません。さまざまな制約がある中で、建築家が要望と条件をベストなかたちでまとめ上げるためには、施主と共に、互いに本気になって「住みたい家」の本質に迫って行く。このことが何より重要です。
──いい家は、一朝一夕に考えられるものじゃないんですね。
施主が本質的なものを見つけるまで、根気強くコミュニケーションを重ねていくことも建築家の重要な役目だと思っています。結局、建築家といっても、家の図面を描いて提案するだけではダメで、予算などの条件から材料、職人まで、すべてをまとめ上げる「総合力」が勝負になります。
桐山和広(桐山和広建築設計事務所)
1968年 栃木県宇都宮市生まれ。 1987年 群馬県立中央高校卒業。 1992年 明治大学工学部建築学科卒業。 1992年 株式会社日総建入社。 2004年 桐山和広建築設計事務所設立。 2006年 青山製図専門学校非常勤講師。 2009年 明治大学理工学部建築学科兼任講師。





