時代に新風を吹き込む建築家たち

2011.9.28

設計のはじまりは「好きになること」

大久保洋司(株式会社ファミリー工房)

大型マンションのリフォームから物置の設計まで、「なんでも器用にできます」が売りの町の建築工房。親しみやすい雰囲気だが、家の設計の話になると、暮らしをデザインすることに対する強い使命感が見え隠れする。そこにあるのは、ひとりひとりの顧客に対する愛情だ。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

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――マンションリフォームから一戸建てまで、手広く担当されていますが、設計で心がけていることはどんなことですか?

使いやすさや快適さでお客さんに喜んでもらうのは当然のこととして、私どもはいつも「ステージが2つくらい上の家」を作ろうと思っています。

仮に、予算にあまり余裕がなくても、いま家族が送っている暮らしより、少し高級感があったり、ちょっと華やかだったり……、あこがれの暮らしに一歩近づいているような感覚をデザインの力で味わってほしい、と。

現実的な話をすれば、土地や予算の制約もあるので、誰もがあこがれの生活ができるわけではありません。しかし、せっかく自分の家を建てるのだから、お客さんには、予算相応ではなく、そのちょっと上の暮らしをしてほしい。このように願っているわけです。

――そんなデザインを実現するために、大切なことは何でしょう。

まずは、お客さんの要望やあこがれを深く理解しないといけません。ヒアリングして、今の住居の家具や調度品をできるだけ見せてもらいます。

以前、事務所に来たお客さんが、「このお皿に合うような家を作ってほしい」と、家で使っている洋皿を見せてくれたことがありました。これまでの暮らしを大切にしつつ、さらにあこがれの暮らしをつくっていくというのはどういうことか、大いに考えさせられた体験でした。

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――単に要望を整理してかなえるだけではないのですね。

いい機能、いいデザインができるかも、最終的には「お客さんのことを好きになる」というのがカギを握っていると思っています。好きな人に提案するならは、中途半端なものは見せられないし、予算などの制約を乗り越えて、いいものを作ろうとするでしょう?

それに好きな人だったら、「この人にはこんな生活をしてほしいな」というイメージもふくらみます。

設計の始まりは「好きになること」なのです。

大久保洋司(株式会社ファミリー工房)

photo 1962年 埼玉県生まれ
1995年 東海大学第二工学部建設工学課卒業
1995年-1996年 株式会社日本建築技術設計 勤務
1986年-1988年 株式会社高野建設設計 勤務
1988年-1998年 株式会社タスク研究所 勤務
1998年 智 建築設計一級建築士事務所 設立
2007年 株式会社シンシア創建 所属
2009年 ファミリー工房 入社

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