時代に新風を吹き込む建築家たち

2011.4.22

歴史を重んじた家づくり

三宅義昭(Studio・ems)

住んでいて、その良さがしみじみ伝わるような家。そんな「住み心地」は、図面だけではわからないだろう。では、そんな「感動のある家」を作るために、どんなことに気をつければいいのだろう。新築にもリノベーションにも多くの実績を有する、三宅氏に話を聞いた。

インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

mainphoto

――施主さんとのやりとりではどんなことに気をつけていますか。

 施主さんの希望は、漠然としていて、具体的ではないことがほとんどです。しかし、建築家は、そんなやりとりの中から、施主さんが本当に追い求めていることを探し出して、建物として具体化する必要があります。それが上手くいったときに、「感動のある家」ができるのではないでしょうか。感動してもらうためには、施主さんが持っているイメージを上回る提案をしなければなりません。建築家の技量が問われるところです。

――なるほど、コミュニケーションからして真剣勝負なんですね。

 こちらは感動できる建物を造りたいと思っています。そのためには、施主さんの希望を聞いたとき、言葉ではなく「形」で返事をしていくことが重要です。施主さんの頭の中にある家と私が考える家、その形の違いを埋める作業の中に、創造性があります。聞いて、聞いて、形にして、その反応を確認する。近かったのか、遠かったのか。どうずれているのか。

  • photo
  • photo
  • photo

――地道な作業ですね。

 要望を聞いて、そのまま設計するのではなく、必要がないにしても何案かつくって提案し、注意深く理想を探っていくことにしています。結局、最初の案が一番よかったりすることも多いのですが、その努力は無駄ではないんです。

――それはリノベーションでも変わらないんでしょうか。

 リノベーションは、その建物だけが持っている「味」を活かすことが大事です。たとえば、私がリノベーションした古民家は、「再生する前よりした後の方が古く見える」と言われるくらいです。というのも、いくらお金をかけても買えない「古い家の味わい」をできるだけ活かさないともったいないと思っているからです。ほかにも、ある古民家では、風呂場をあえて古い木材でつくりました。湿気の問題などをクリアするためには、新しい木を使ったり、ユニットバスを入れた方が簡単なのですが、雰囲気を壊さないことが何より重要だと思ってあえて難しい課題にチャレンジしたわけです

――新築とはまた違った魅力があるんですね。

 実際的な話をすると、古民家は、寒かったり、風通しが悪かったりと、居住性が悪いケースも多いんです。だから、現代の技術を使って、住みやすく、使い勝手をよくする。それがリノベーションの基本です。ただ、私は、先人たちの愛したプロポーションを壊すことはよくないという考え方を持っています。長年、研鑽を積んだ職人だからこそできたであろうデザインをできるだけ味わいたい。軽々しく変えたくない。住宅には、人間の思いや努力がこもっているからです。

三宅義昭(Studio・ems)

photo 1958年 千葉県生まれ、1976年 千葉県立安房高等学校卒業、1985年~1995年 AWA建築計画研究所、戸木建築設計事務所 他にて修行、1997年 神尾三宅建築設計事務所開設、2008年 廃業、2009年 Studio・ems(すたじお・えむず)一級建築士事務所開設

注目の建築家

ISSUE

新着お役立ち記事

記事一覧へ

how to use

建築家オウチーノの使い方

FAQ -よくある質問と答え-

TRUSTe

このページの先頭へ