プロセスこそ、建築の“母”である。
武田憲昭(PROCESS5 DESIGN )
家を建てようとする人にとって、気になるのが建築家との相性だろう。要望を聞いてもらうとは言っても、当然その感覚は施主とまったく同じではない。こうした不安について、武田氏は、依頼者と過ごす時間、つまり完成までのプロセスを大切していきたいと語る。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

──大学のころに建築の道を目指されたのですね。
もともとモノを作るのは大好きだったのすが、高校生のとき、海外旅行に行くため関西空港に初めて行ったとき、空港に入るなり「これだ」と。
──どんな点を素晴らしいと感じたのですか。
空港のターミナルにいる人は、みんな楽しそうなんですね。建物はみんなを楽しくできるし、建築家なら、みんなが楽しい場所をつくることができる。そう気づいたことが建築家としての原点です。
──家づくりでは、どんなことが魅力ですか。
「理想の家」は、住まい手ひとりひとりによって違う。そこが面白味ですね。だから、こちらはデザインやコンセプトを押しつけるようなことは絶対にしません。ただ、クライアントの注文をそのまま形にするのも違うと思います。クライアントが本当に求めている理想の住まいとは何なのかをもっと追求する必要があると思います。そこで、まず好きな食べ物やファッション、休日の過ごし方など、その人の感性を理解する。その上で、要望を語る言葉の中にあるもの、背景にあるものをくみ取って提案していくことが重要です。
──施主さんとのコミュニケーションで気をつけていることはありますか。
第一歩として、「建築家の先生」という意識を捨ててもらうことですね。こちらは専門家ですが学者等ではありません。打ち解けるのに多少時間はかかっても、友達や仲間に話す感覚で会話をしたり、絵を描いて見せたり、飲みに行ったりする方が、互いに人間としての理解が進みます。クライアントとの関係は、「建物を作って終わり」ではありません。たとえば家具や服、食器を選ぶとき、一緒に出かけて「どれがいいかな?」と聞かれるような間柄が理想です。
──なるほど、人間関係が大事なのですね。
コミュニケーションがすべてであり、それによりいい住まいが生まれると思っています。
──そう考えるようになったきっかけは何ですか。
昔、クライアントから「山をひとつ買ったから、家を建てたい」という依頼があったんです。現場に行ってみると、チェーンソーで木を切って、重機で道を作っているという、まさに「開拓中」の状態でした。結局、僕も一緒に土木作業をやることになったのですが、クライアントと一緒に働き、ご飯を食べたりしながら話していく中で、自然と設計案ができ、満足してもらえたんです。この経験からわかりました。「設計は、図面とにらみ合うことじゃない。クライアントと対話していく中で出来るものなんだ」と。
ひとつひとつの仕事で、こんなふうにプロセスを大事にしていきたいですね。
武田憲昭(PROCESS5 DESIGN )
1980 大阪府生まれ
1999 PROCESS5として活動を始める
2003 近畿大学理工学部建築学科環境デザインコース 卒業
2003 株式会社MARIO DEL MARE 一級建築士事務所 入社
2006 PROCESS5 DESIGN OFFICE 設立
2009 PROCESS5 DESIGN 設立








