住む人が健康になれるような家を
田中宏典(コトリ)
「家」は、単に建物を指すこともあれば、夫婦や親子という共同体を指すこともある。そう考えれば「家づくり」は、コミュニティを作ることとも捉えられるだろう。田中氏が提案するのは、そんな「家族の健康な生活」を基本にした家づくりだ。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部

──住宅づくりの魅力とは何でしょうか。
これだけヴァーチャルなものがあふれる現代で、家というものは圧倒的に現実であること。これが最大の魅力です。住宅は模型と違って1/1スケールだから、中に入っていける。中に住んで楽しめる。また、普通の人には手に負えないテクノロジーでできている車やバイクと違って、住宅はあらゆる部分を自分でつくりあげることができるのも面白さではないでしょうか。
──オーダーメイドで作ればなおさらですね。
オーダーメイドというとたいそうな感じがしますが、なにも特別なことはないと思っています。例えば、靴を買うとき、現代ではほとんどの人が売られているものを買いますが、本当は足の大きさだって左右で違っているんですよね。そういうひとり一人の人間によって違うものを「26センチ」という規格に合わせて私たちは暮らしているんです。しかし、自分でつくる家はそうではない。自分の好きなこと、自分だけの使いやすさ、自分の価値観を好きなだけ追究して、好きなものに囲まれて生活できることができるわけです。
──なるほど、では田中さんの考える理想の家とはどんな家ですか。
シンプルなことですが、日当たりのいいリビングとダイニングを中心にした家がいいですね。親子や夫婦でご飯を食べたり団らんしたりするリビングやダイニングの陽当たりや風の流れがよくないと、なんだか気が晴れない感じがしてきます。そうなると家族の人間関係や健康にも関わってくる。「風が流れる日当たりのいいリビングダイニング」は家族の絆や健康に暮らす家の象徴です。
──健康にも関わるというのは面白いですね。
健康の基本は食べることですが、食べることは住むことに影響されると思っています。たとえば、きれいで使いやすいキッチンがあれば、いつも片付けた状態にしておきたくなり、ひと手間かけた料理をつくりたくなる。キッチンの設計が体にいいものを食べることにつながっていくわけです。ダイニングやキッチンが明るくて気持ちいい空間だと、住んでいる人の気持ちも前向きになる。こんなふうに住む人への影響を常に考えています。このように、家づくりを通じて病気にならないような生活を提案していきたいですね。
田中宏典(コトリ)
1970年 愛知県生まれ。
1993年 福井工業大学建設工学部建築学科卒業。
1994年 福井工業大学建設工学部建築学科研究生卒業。
1994年 株式会社 田村設計勤務。
1996年 有限会社 保坂陽一郎建築研究所勤務。
1997年 株式会社 渡辺誠/アーキテクトオフィス勤務。
1998年 株式会社日本カラーエンジニヤーズ勤務。
2001年 株式会社ミクプランニング 勤務。
2003年 デザインドック・タナカ 設立。
2005年 有限会社コトリ 法人化。








