建築家だからここまでできた!
住宅の敷地には、大きさはもちろん、形状もさまざまなものがあります。一般的には正方形に近いシンプルな敷地が理想とされていますが、少し変わった形の敷地、いわゆる「変形敷地」でも、設計の工夫やアイデア次第で快適な住宅を建てることができます。今回は、変形敷地とはどういったものなのか、また、こうした敷地の具体的な活用方法にはどのようなものがあるのかについて見ていきましょう。
変形地に建てるポイントとは?
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「変形敷地」も上手に活用できればメリット大!
変形敷地と一口に言っても、その種類はさまざまです。例えば、敷地と道路が細い道のような敷地でつながれたものは、その形が旗に似ていることから「旗竿敷地」と呼ばれています。そのほか、三角形の敷地や五角形の敷地、菱形や細長い敷地、また高低差のある敷地や崖地も変形敷地の一種と言えるでしょう。 一般的にこうした敷地には住宅を建てるのが難しいため買い求める人が少なく、価格も安くなる傾向にあります。しかし逆に考えれば、こうした変形敷地をうまく活用することができれば、より安くマイホームを手に入れることができると言えます。では、変形敷地を活用するにはどのような方法があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
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「旗竿敷地」の問題はこうして解決!
変形敷地の代表格とも言える「旗竿敷地」。旗竿敷地は通常、周辺に隣家が迫っていることが多く、採光や通風が得にくい、窓がつくりにくいといった問題が生じやすくなります。こうした場合は、大きな窓をつくるかわりにトップライトを設けると効果的に採光・通風を得ることができます。また、敷地にある程度の広さがあれば、家の中央に中庭をつくり、その中庭に向けて窓をたくさん設置するという方法もよいでしょう。これなら外部からの視線を気にする必要もありません。 一方、旗竿敷地の特徴を逆手に取って住宅の魅力をアップさせる方法もあります。旗竿敷地の"竿"の部分を利用して、道路から玄関までのアプローチをデザインするのです。長いアプローチを利用して、飛び石を打ったり、植栽で飾ったり、照明を設置するなどすれば、訪れる人もきっとワクワクするはずです。
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変形敷地を活かして個性的な外観を!
次に、旗竿状ではないものの、三角形や五角形、菱形などの変形敷地について考えてみましょう。こうした敷地に無理矢理四角い建物を建てるとどうしても無駄なスペースが生じてしまい、居室面積が減ってしまいます。やはり、変形敷地ではそれに合わせた形の建物を建てたいところです。敷地に合わせて変形した建物には、一般的な四角い総2階の住宅にはない個性が生まれます。せっかく変形敷地に家を建てるなら、いっそその特徴を前面に押し出してしまうという「逆転の発想」を持つのもよいかもしれません。 ただし、変形敷地に合わせた形の建物を立てる場合、一般的な四角い家よりも工事が複雑化し、その分コストが上がることもあるので注意が必要です。
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変形敷地での設計は絶対に建築家がオススメ!
変形敷地に家を建てにくい理由には、「プランニングが難しい」「ディテールが複雑になる」などさまざまなものがありますが、一般的なハウスメーカーや工務店は、基本的にこうした敷地があまり得意ではありません。ハウスメーカーや工務店のつくる住宅は通常、基本となる住宅の形や仕様、プランなどが決まっており、変形敷地に合わせた形には対応がしづらいのです。 その点、ゼロから始める建築家との家づくりなら、敷地や建て主の要望に合わせて柔軟な対応が可能。オーダーメイドの洋服のように、その敷地に最適な形やプランを、予算に合わせて実現することができるのです。 「せっかく条件の合う敷地を見つけたのに変形敷地だった…」「変形敷地のせいで理想のプランができそうもない…」そんな悩みを抱えているのなら、諦める前にぜひ、経験豊富な建築家に相談してみましょう。
建築家による変形地の家の事例
建築家がさまざまな工夫を凝らしデザインをした、変形地に建てた家の事例をラインナップしてお届けします。
神戸市の閑静な住宅地の敷地面積18坪の変形狭小敷地。しかも、第一種低層住居専用地域の建ペイ率50%・容積率100%の難易度の高い敷地であり、購入時に建っていた既存建物は建ペイ率80%ほどある既存不適格建築であった。クライアントからは購入時の既存床面積は最低限満たして欲しい。且つ、狭さを感じさせないデザイン・建築になる様に工夫して欲しいとご要望されました。特性を活かし、高低差を利用したマドの配置によるプライバシーの保たれた大きなマドからの開放感。空間。平面的に制限のあるスペースへの空間ボリュームの増幅操作。ぞれの建築的操作を互いに連動させることプラス、建ぺい率49.31%、容積率99.99%と限界まで面積を使い切り、狭小住宅ながらも豊かな快適住空間を実現させる事ができました。